上海市内の有名建築物をめぐる旅! あの建築家の作品を上海で鑑賞しよう。
こんにちは、上海ナビです。
上海を代表する観光地「外灘」は、「万国建築博覧群」と呼ばれることがあります。さまざまな様式の建物が一堂に会している様子はまさに建築物の見本市。それら外灘の建築群も含め、戦前から現在まで上海市内には多くの有名建築家たちが作品を残しています。個性的な建物の数々を見ていると「上海って、建築家がのびのび仕事できる街なんだろうな〜」と思えたり。そんな注目すべき建築物を一挙にまとめてみました〜。
日本人建築家たちの作品を見に行こう!
上海には日本の有名建築家が設計した建物がたくさんあります。建築家その人の熱狂的なファンも多く、講演会や個展もよく開催されています。そんな上海人の建築ファンが特に注目している有名日本人建築家たちの作品を見に行ってきました!
上海銀行大厦
丹下健三東京都庁、広島平和記念公園、代々木体育館など、日本を代表する建物を多く手がけている「世界のタンゲ」は、小学生のころ(大正時代)上海で暮らしていたそうです。彼の上海での仕事といえば、陸家嘴にある「上海銀行大厦」(2005年竣工)。46階建ての金融系オフィスビルです。天井まで38mもあるロビーの奥には、水が流れる階段状の滝が。明るく開放感のある空間が印象的でした。
震旦博物館の内観
安藤忠雄上海でもっとも有名な日本人建築家といえば安藤忠雄なのではないでしょうか。現在上海には、「保利大劇院」(2014年竣工)、「震旦博物館」(2012年竣工)、「上海国際設計中心」(2008年竣工)、「上海建築文化中心」(2015年2月現在未開放)の4つの作品があります。旅行者の皆さんへのイチ押しは「震旦博物館」。フロアの上層階に、黄浦江の風景を座ってぼーっと眺められるスペースがあるんですよ。
証大喜瑪拉雅中心
磯崎新変わった外観の建物が多い上海でも、特に奇抜なデザインの「証大喜瑪拉雅中心」を手がけたことで有名。ほか、高級住宅のクラブハウス「九間堂(旧:十楽)」が知られています。2014年には「上海交響楽団音楽廳」が竣工。こちらは東京のサントリーホールなどを手がけた音響設計家の豊田泰久との合作だそう。巨大劇場が多い上海ではシンプルですっきりした外観が印象的です。
CALYPSO
坂茂2014年のプリツカー賞受賞や震災時の活動で話題になった坂茂の作品と言えば、静安寺エリアの人気レストラン「CALYPSO」(2013年オープン)。また、現在は取り壊されていますが、2010年上海万博の「日本産業館」内のシアター(縦長のスクリーンで、日本を紹介する素敵な映像が流れましたよね)も氏の作品だったそう。
隈研吾
美術館で個展が開催されたり、著書の中国語翻訳版が売れていたりと、上海に多くのファンを持つ隈研吾。主な作品は、エルメスが中国で展開する高級ブランド「SHANG XIA」の店舗の内装(2014年オープン)と、やや隠れた場所にある「Z58」(2006年竣工。番禺路58号)です。「Z58」は地元企業のオフィスのため、見学や撮影は不可とのこと。鏡みたいな外壁の建物が目印です。
L.AVENUE
青木淳上海人には「靴子楼」(ブーツみたいなビル)と呼ばれ、在住日本人には「ルイ・ヴィトンビル」と呼ばれている奇抜で印象的なデザインの複合ビル「L.AVENUE」(2013年オープン)。ここが表参道や銀座のルイ・ヴィトンビルと同じ建築家の作品だということを知っている人、けっこう少ないのでないでしょうか。ナビも最近知りました〜。
余徳耀美術館
藤本壮介今後新しいアートスポットや複合施設がどんどん増えそうな西岸エリア。この一角にある「余徳耀美術館」が藤本壮介の手がけた建物です。廃飛行場の格納庫をリノベーションした、柱のない巨大な空間に圧倒。少し前、中国語のライフスタイル誌にて「破壊王」という見出しでかっこよく紹介されていた藤本氏。今後も上海に作品が増えるのではないでしょうか。
<近代編>
ここまで現代建築家の作品を見てきましたが、戦前の上海で活躍していた日本人建築家もたくさんいたようです。現存する建物も多いんですよ。
ウォルドルフ・アストリア上海オン・ザ・バンド(過去の内装)
下田菊太郎現在「ウォルドルフ・アストリア上海オン・ザ・バンド」が入る旧「上海総会」の内装を手がけたそう(1909年ごろ)。ほか、現存はしていないようですが、当時の日本人クラブ、日本民団小学校など複数の建物を手がけていたそうです。
上海生命科学研究院
内田祥三衡山路エリアの裏通り・岳陽路に隠れている「中国科学院上海生命科学研究院」の本館が彼の作品。東京帝国大学総長、日本建築学会会長などを務め、東大のキャンパスの建物を多く手がけた建築家の作品です。竣工は1930年代。「内田ゴシック」と呼ばれる特徴的なデザインだそう。確かに、東大っぽい。
海外の有名建築家の作品はこの建物!
上海に最近オープンしたショッピングモールや高層ビル、スタジアムを調べると、欧米の著名な建築家や建築事務所の名前が続々出てきます。街を歩きながら有名建築家の作品を探してみました。
上海国金中心
シーザー・ペリ羽田空港第二ターミナル、あべのハルカスなどを手がけたことで日本でも有名。上海では、リッツカールトン浦東が入る「上海国金中心」が彼の作品です。
ポール・アンドリュー
パリのシャルル・ド・ゴール空港などを手がけているフランス人建築家。「浦東国際空港」や「東方芸術中心」が彼の作品です。
凌空SOHO
ザハ・ハディッド2020年東京オリンピックのメインスタジアム「新国立競技場」の建築家ですね。彼女の作品は2014年竣工の「凌空SOHO」。虹橋エリアの、新幹線みたいなデザインの複合モールです。
上海二十一世紀民生美術館
ジャック・フェリエ上海万博のフランス館を手がけています。現在、このパビリオンは「上海二十一世紀民生美術館」として2014年に再始動。無料で見学できます。
上海衡山路12号豪華精選酒店
ほか、スイス人建築家、マリオ・ボッタによるエコ建築のホテル「上海衡山路12号豪華精選酒店」(衡山路12号)や、アメリカ人建築家、トム・メインによる中国企業「ジャイアント・インタラクティブ」社屋(松江区中凱路988号)などが知られています。
<近代編>
上海の建築物を語るならハズせない近代建築の数々。外灘やフランス租界エリアには、当時異国の地・上海で活躍していた欧米の建築家の作品が多数残っています。
かつての住居が記念館になっています
ラズロ・ヒューデック上海でもっとも有名な近代の建築家です。ハンガリーからやってきた彼は、1918年から約30年の間に上海で多数の仕事を手がけています。「国際飯店」「武康大楼」「沐恩堂」「大光明電影院」などは、今も上海市民が普通に利用しているんですよ。番禺路には、彼が暮らした家をそのまま使った小さな記念館も。先ほどご紹介した隈研吾の「Z58」のななめ向かいにあります。
外灘3号
パーマー&ターナー事務所1870年に香港で設立されたイギリス系の建築事務所。「上海大厦」「外灘3号」「上海浦東発展銀行」「外灘18号」「「フェアモント・ピース・ホテル」「中国銀行上海支店」「永安百貨」など、上海を代表する文化財建築を多数建設しています。外灘エリアを注意深く見ながら歩くと、社名が刻まれた壁を発見することも。
レスター・ジョンソン&モリス事務所
1913年に上海へ移り住んだイギリス人建築家、ヘンリー・レスター、ゴードン・モリス、ジョージ・A・ジョンソンが設立。「外灘5号」「招商銀行」「旧上海三菱銀行」など、こちらも外灘エリアの主要建築を手がけています。
中国人建築家の作品
デベロッパーも建物のオーナーも、外国の有名な建築家に依頼することが一種のステータスな上海。でも、国内にも「建築大師」と呼ばれるこんな人がいます。
寧波滕頭館(現在は閉鎖中)
王澍中国人初のプリツカー賞受賞者。杭州を拠点にしており、上海市内での仕事は少ないのですが、上海万博のパビリオン「寧波滕頭館」を手がけています。現在は閉鎖され、外観のみ見学可能。
中華芸術宮
何鏡堂日本では何かとネガティブな記事でよく目にする建築家。作品は上海万博の中国館(現:中華芸術宮)、ミサイル開発で有名な銭学森を記念した「銭学森図書館」(華山路1800号)、南京大虐殺の記念館(南京市内)など。
ほか、上海での仕事は少ないですが、世界に活躍の場を広げている若手の注目株・馬岩松や、日本での受賞歴も多い張永和も知名度が高いです。アメリカ系中国人では、イオ・ミン・ペイがもっとも有名。「ペイ・マンションホテル」がゆかりの建物です。
位置を地図で
代表的な現代の有名建築物の位置を見てみましょう。市街地よりも郊外に多いのが特徴?
交通が不便な郊外にある建物も多いので、ぐるっと全部見てまわるなら一日チャーター車が便利ですよ!
この建物もお勧め!
そのほか、この記事のなかでは紹介しきれなかった、上海で見ておきたい建築物をまとめてみました! 手がけた建築家や内装デザイナーなど、気になったらぜひ調べてみて下さい。
いかがでしたか? 今後も続々と増えそうな有名建築家たちの作品。皆さんも、観光中や移動中に見えた気になる建物をぜひチェックしてみて下さい。調べると意外な建築家の作品だったりします。また、上海の街角は街路樹が多いので、建物の見学や撮影をするならお勧めは葉が落ちる真冬の晴れた日がお勧めですよ。
以上、上海ナビがお伝えしました。
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記事登録日:2015-03-26