劇団「上海アパッシュ」第10回公演『シャンハイ ムーン』

上海で活動する日本人の劇団「上海アパッシュ」を突撃取材! 魯迅と周囲の人々を描いた『シャンハイ ムーン』を観てきました!

こんにちは、上海ナビです。
上海で暮らす日本人には、どんな人達がいるの?みんな、日本にいる時と同じように好きなことをして暮らしているの?と、ふと興味がわいたことがある人もいるんじゃないでしょうか。
ここ上海には、演劇が大好きな人たちが集まって、真剣に取り組んでいる日本人の劇団があるんですよ。今回は、上海で活動する劇団 「上海アパッシュ」 の第10回記念公演の模様をレポートしたいと思います!
3月2日(日)の午後。会場となる 「上海話劇芸術中心」 (安福路288号) の D6空間 へやって来ました。
劇団「上海アパッシュ」第10回公演『シャンハイ ムーン』 チケットを片手に、6階のシアターを目指します。

チケットを片手に、6階のシアターを目指します。

「D6空間」 はこちら!座席数は、182席。客席から、ステージを見下ろすタイプになっています。ステージとの距離が近くて、興奮度大っ!

~今回の劇『シャンハイ・ムーン』について~

原作
井上ひさし(本作品は、1991年 谷崎潤一郎賞 受賞)

登場人物
魯迅: 中国の偉大なる文学家
須藤五百三: 魯迅の最後の主治医
奥田愛三: 歯科医、また芸術家でもあり、魯迅のデスマスクを作った人
内山完造: 北四川路で書店を経営
みき: 完造の妻
許広平: 魯迅の第2夫人

あらすじ
1930年代の上海、国民党に追われ内山書店で潜伏しながらも筆を執る魯迅。しかしその心と体はすでにボロボロでした。歯痛の治療の後遺症で、魯迅の心の奥に眠っていた旧友や北京にいる正妻などに対する贖罪の念が浮かび上がり、彼を自殺願望、人物誤認症といった病へと追いやっていきます。そんな悩み続ける魯迅に、彼を心から愛し、生き続けさせようと救いの手を差し伸べる日本人たちと魯迅のお話です。

魯迅
本名: 周樹人(シュウジュジン)
仙台医学専門学校 (東北大学医学部の前身 )で学んだが、「中国の民族性の改革には文学が必要」 と決意し帰国、文学に専念。小説は 「狂人日記」 「阿Q正伝」 「故郷 」 など。

14:15   5人の役者さんが手紙を読み上げるという印象的な場面から、スタート!
租界時代の上海には、約3万人の日本人が生活していたんだそう。上海に住む身にとっては、昔と現在の上海のイメージが重なり、グイグイ引き込まれていきます。 当時の時代背景がわかりやすく頭に入ってきて、楽しみながら知識も増えるぞというお得感もありつつ、魯迅をとりまく心温まる人間模様に、思わずジーンときてしまったナビ。

16:45   プロローグからエピローグまで、全部で8つの場面から構成。 約2時間半の長丁場でしたが、最後まで飽きさせることなく面白かった! 中国と日本、中国人と日本人との関係についても、改めて考えさせられました。
上海アパッシュは・・・
「演劇が大好き!上海で演劇がしたい!」 という志を持った仲間が集まり、2001年から活動している劇団。通常は毎週日曜日に集まり、公演に向けて稽古に取り組んでいるのだとか。
今までは留学生や演劇経験の無い人も公演に参加していたそうですが、今回はアマチュアながら芝居の経験豊富なメンバーが揃ったステージ。2日間にわたる計3回の公演を通して、出演者のみなさんもかなりの手ごたえを感じられたそう。

~役者さんたちの素顔に迫る!~


劇団「上海アパッシュ」の役者さんやスタッフの方々にお話をうかがってきました。
上海アパッシュ主宰 (座長) の橋本さんは、演出もこなされています。「普段は、日本料理店 ( 「誠」 富民路288号 ) の経営をしています」 とさらっと一言、さらに 「最近、映画俳優としてもデビューしました」 とこれまたさらっと…。
一体何足のわらじを履いてるの?と面食らったナビ。なにより一番驚いたのは、今回ご自身はもともと出演する予定がなかったのに、急遽公演2週間前に奥田役を演じることになったという事実! 劇をご覧になったみなさん、見破られましたかー?
劇団活動の酸いも甘いも知っている(?!)、2001年 劇団創立からのメンバー。疋田さんが演劇を始めるきっかけとなったという思い入れの深いこの作品で、3度目の今回は主役(魯迅)をつとめられました。疋田さん: 「みんな普段は仕事を持っているので、土日しか集まって稽古できないんですよ…。アマチュアだからこその苦労もあるけれど、それを乗り越えるチームワークと、創り上げたあとに得られる達成感は格別!」
魯迅を慕う正義のお医者さん役という、長台詞も多く重要な役柄を見事に演じられていましたが、ひとたびステージを降りると、とっても気さくで陽気な須藤さん。劇団内のムードメーカーとお見受けしました。実は中国在住暦16年のツワモノで、上海の某日系企業の総経理をなさっているのだとか! 舞台上での役者の顔と素顔のギャップに驚かされたナビは、お仕事中の須藤さんもまた別人の様だったりして・・・?と勝手に妄想。
「何が嬉しいかって、上海に演劇の場があるっていうのがイイよねぇ!」 と、取材もそろそろ終了…というところで熱く語り出した姿が印象的でした(笑)。ステージで前へ前へ出るのが大好きだというのは本当なのかも? でも、内山完造がステージ上に出てくると、空気がパッと明るくなったんですよ~。
明るく内山書店を切り盛りする、完造の妻・みき役を演じ、“芯の通った日本の古きよき女性像” を体現なさっていた福井さん。実は大阪の劇団 < PM/飛ぶ教室 > に所属されているんだとか。大阪ミナミ 「ウイングフィールド」 にて、今年6月5日~8日に公演があるそうなので、関西方面にお住まいの方は要チェックですよ!
魯迅を支える奥さん(しかも第二夫人という難しい役どころ)を演じられました。小柄なのに、舞台上でのものすごい声量に圧倒!「この作品にずっと関わりたかったので、今回夢がやっと叶いました」 と胸のうちを吐露されていた田中さん、作品・役に対するそんな想いを、ナビが観客席でしかとキャッチしましたよ!
なんと梁さんは、かつて書道コンテストで中国一になったというスゴイ経歴をお持ちなのです。舞台装置の “書” は彼女の直筆!おかげでとっても雰囲気のあるステージに仕上がっていました。みなさん、解読できますか?
新メンバー。実はこの方が本来、奥田愛三役をやる予定だったのだとか。当日はマネージャーさんのような出で立ちで現場を仕切っていらっしゃいました。次回公演の出演に期待してます!


他にも、劇団創立時から宣伝美術を担当されている橋本靖子さん、
今回から参加された音響・照明のスタッフの方々など、みなさん力
を合わせて公演を成功へと導きました!

~ サービスショット ~
本番前の役者さんたちの様子をちらっと公開しちゃいます。
緊張のボルテージが高まる中、自我を開放し、舞台との一体化を試みている( ← 全くの推測)座長を発見!
座長の指揮の下、“蝋人形館チックなワンシーン” を激写。このままマダム・タッソー館に移動させたい!
楽屋でパチリ。お疲れ様でした!

楽屋でパチリ。お疲れ様でした!

演劇をこよなく愛するメンバーがここ上海で、“感動” を目指してつくりあげる舞台。それぞれ全く異なる肩書きをお持ちのみなさんの共通項は、演劇が大好き!という点。
年1回くらいのペースで公演を行っている (次回は早ければ今年の夏に上演) そうなので、今後の活動にも期待しています!
上海アパッシュのみなさん、ご協力ありがとうございました!!

@@@@@@@@@
作品の舞台となったのは、「北四川路(現 四川北路)」。この一帯は、租界時代に日本人が多く住んでいたエリア。ナビのお散歩ツアー、200元ポッキリ!お散歩観光Bコースでは、魯迅公園 (魯迅記念館あり) と内山書店跡も巡りますよ!

■ その他の情報 劇団「上海アパッシュ」ホームページ: www.lunalunanetwork.com/apache/Welcome.html

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-03-12

ページTOPへ▲

その他の記事を見る