世界各国のキュレーターや業界関係者たちも注目!上海最大の中国現代アート集積地で、中国の最新アート事情に触れよう!
こんにちは、上海ナビです。
日本には最近廃校舎や古いビルをリノベーションしたアートスポットが増えていますよね。ここ上海にも、2002年に登場した有名なアートスポットがあります。それが今日ご紹介する「M50」。1930年代に建てられた紡績工場の跡地をそのまま利用したギャラリー街なんですよ。「2000年代半ばに上海アートって話題になったけど、最近どうなの?」と聞かれることも多いナビ。百聞は一見に如かず、です。今も昔も上海のアート界を率いるエリア「M50」にいざ出かけてみましょう。
「M50」に行こう!
最寄りは「中潭路」駅
「M50」は、有名なスポットでありながらどのガイドブックにも「上海駅の近く」「蘇州河沿い」のような、ざっくりとした説明しか書かれていません。「結局いつも地図を見せてタクシーで行く」という方も多いのでは? ということで、今回ナビは歩いて出かけてみました。最寄り駅は地下鉄3、4号線「中潭路」駅です。
莫干路名物といえば、落書きの粋を超えたグラフィティアート(スプレーアート)。道沿いに超絶テクニックの作品がずらりと描かれています。作品の上に常に上書きされていくので、毎回違う作品を見られるのもポイント。これ、工事現場や空き地の壁なんですが、ここにビルやマンションが建ったらこういう風景はなくなってしまうのかも。鑑賞しつつのんびり歩いて目指しましょう。
周辺にはこんなスポットがあります。
「M50」ってどんな場所?
「M50」は、数ある上海のアートスポットのなかでも最も早く登場した場所。世界的に有名な現代アーティスト・丁乙がアトリエを構えたことから、仲間の画家たちが集まってきたといいます。ナビが最初に訪れた2004年ごろはまだ工場が稼働していて、機械音の中を散策した思い出が。今も張恩利、施勇、曲豊国など、中国を代表するアーティストのアトリエがあり、上海アートを世界に広めた「香格納画廊」など外国人オーナーのギャラリーもたくさんあります。
現代アートファン必見の場所
「M50」攻略法○
中国の現代アートについて知っておこう「中国のアートって山水画?」という方は多いはず。間違いではないのですが、「M50」に集まっているのは絵画や写真、インスタレーション、映像アートなどの現代アートです。前衛的なもの、抽象的なもの、社会を風刺したものなども多く、「何でこんな作品を描くの?」と思いながら鑑賞すると何かが見えてくるはず。そのため、山水画や花鳥画などを期待している方は退屈かもしれません。
入りやすく、無料で見学自由のギャラリーばかり
○
見学は無料で自由ギャラリーというと、「画商が説明しながらついてきて高く買わされるのでは?」などと思う方もいるかもしれません。が、「M50」内のギャラリーは全部無料開放で、「スタッフがいないけど大丈夫?」なんて思ってしまう無人の場所も。とことん自由にのびのび鑑賞することができます。その分、マナーは守って見学を。有名アーティストに会うには事前にアポが必要です。
○観光地としては不便
「M50」はあくまでアーティストたちのための場所。敷地内には小さなカフェが2〜3軒あるのみで、土産物を売る店や観光客向けの施設はありません(2013年8月現在)。周辺には住宅地が広がるのみ。タクシーで行く方は、帰りの足の確保に苦労するかもしれません。その分本当にアートが好きな人が行く場所だということが言えると思います。
「M50」内を歩こう
ここが正門
それでは早速「M50」の敷地内を歩いてみましょう。面積は約41000㎡。0〜24の棟があります。有名ギャラリーをピンポイントで見ていくのもお勧め。休館は月曜日に多く、休館日以外でも展示替えなどで不定期に閉まるギャラリーもあります。また、ギャラリー、カフェともに閉店は夕方6時ごろ。じっくり見学するなら午後早めに到着しましょう。
まずは入り口付近から歩いてみました。ギャラリー探しは棟の番号を見ながら歩くとすぐに見つかりますよ。
こんなスポットがあります。
このエリアの必見ギャラリーは、日本人の若手アーティストによる企画展も多い「熏依社画廊」。2階がカフェになっています。ナビはこのギャラリーで作品を見てファンになったアーティストがいっぱい。
入り口と看板は目立ちませんが、思い切って入ってみましょう
6号楼に入っている二つのギャラリーも必見。一つは「M50」内では老舗の「東廊」。もう一つはヨーロッパ人オーナーの「Island6」です。工業用エレベーターか古い螺旋階段で目指しましょう。1階だけでなく、ビル内もくまなく見てみて下さいね。
4号楼、6号楼の裏手(西側)には、工場らしい風景が残っています。廃墟や工場跡に興味がある方も楽しめるはず。
このあたり、ビル内や路地の裏を覗くとまだまだ小さいギャラリーやアトリエが隠れています。
6号楼より先にはこんな広場が。ここが敷地内の真ん中です。入り口から見て広場の右手にある白いオブジェは丁乙の作品。
このエリアより先を見てみましょう。こんなギャラリーがあります。
20号楼、10号楼など、敷地内のいちばん奥には丁乙、張恩利などのアトリエが。欧米のアート誌で表紙を飾るような人がここで作品を描いているのだと思うと、ナビは来るたびにわくわくしてしまいます。開放はされていないので通るだけ、ですけど。
必見ギャラリーは「香格納画廊(Shang Art)」。先ほどご紹介したとおり、2000年代初めまで復興公園内にあったこのギャラリーが上海アートを世界的に有名にしました。オーナーはスイス人のローレンス氏。アート界ではかなりの有名人です。楊振中、趙半狄,楊福東など、ユニークな作品を作るアーティストの作品を多数所有していて、おもしろい展示物も多数。建物は16号楼の本館と18号楼の「H-Space」の二つに分かれています。
お茶、簡単な食事なら音楽カフェ「半度雨棚」へ。水餃子や簡単な麺料理があります。「古い喫茶店」といった風情のインテリアも魅力。Wi-Fiが無料で使えます。
いかがでしたか? 上海にはアートスポットと呼ばれる場所がほかにもいくつかありますが、やっぱり拠点となるのは「M50」。上海のアートをおもしろいと感じて集まっている外国人とふれあえるのも魅力です。美術館にはない自由な雰囲気もポイント。地元アーティストの作品をじっくり鑑賞すれば、上海のもう一つの表情も見えてくるはずです。
以上、上海ナビがお伝えしました。