民間の伝統文化とお祭りの古鎮。浦東の片隅にある、川沿いの住宅街を散策しよう。
こんにちは、上海ナビです。
日本のように、地域に根ざした伝統的なお祭りがほとんど残っていない上海。春節(旧正月)の爆竹も禁止されて既にしばらく経ちますし、端午節、中秋節などの行事を重視している人も少なくなっているような気がします。そんななか、最近「伝統的なお祭りならここ!」と注目を集めているのが今日ご紹介する「三林塘」。北宋時代に形成された川沿いの小さな古民家街です。どんな場所なのか、早速出かけてみることにしましょう〜。
「三林塘」へ行こう!
「三林」駅4号出口を出ます
「三林塘」の最寄駅は、地下鉄11号線「三林」駅。駅からは徒歩10〜15分ほどで行けるので、お散歩しつつ歩いてみましょう。普通の住宅街なので入場料などはありません。
入り口に林楽耕の像
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「三林塘」とは?北宋時代(960〜1127年)に福建省からやってきた林楽耕という人が、この地で商売を始めたことから形成された街。その林氏が三人の息子に周辺の村を分け与えたため、「三林」という地名がついたそう。現在の「三林鎮」(住所に三林鎮という地名が入るエリア)は約34㎢。東京の杉並区と同じくらいの面積です。その一角にあるのが今回ご紹介する「三林塘」。清代まではこの周辺にもお寺がたくさんあったそうなのですが、現在は川の南側にはマンションが建ち、北側に古い街並みが残っているだけになっています。
※「三林塘老街」「三林老街」「三林鎮」など、メディアによって呼び名が異なることがあります。
「龍舞」の街
古い街並みとコミュニティが残っている「三林塘」はお祭りが盛ん。毎年4月の「上海民俗文化節」と春節、中秋節などに伝統的な行事が開催されます。夜は街並みがライトアップされ、屋台も出るそう。端午節には川を使ったドラゴンボートのレースも開催されます。また、特に有名なのは龍の舞で、三林のチームは全国優勝したこともあるほどの実力なのだそう。海外公演やテレビのショーにも出ているそうです。
川沿いの小さな村をお散歩♪
こんな街並みが続きます
今回ナビは駅に近い東側からぶらぶら歩いてみました。距離は700〜800mほど。旅の日程に入れるなら、お昼前に到着してちょっと歩いて、ランチを食べて帰ってくるのがお勧めです。観光客が行かない場所、商業的ではない場所(土産物店やチェーン店はありません)が好みならハマるはず。古い街並みの風情と生活感を感じながら歩いてみてください。
こんな風景が迎えてくれます。
「文昌閣」
「文昌閣」という廟の裏手には「三林民俗館」というミニ展示館が。入場無料です(9:00〜11:00、12:00〜16:00※月曜祝祭日休館)。
ゴールの門
進行方向にこの門が見えたらゴール。引き返して戻る散策コースになります。川の南側にも渡ってみたナビですが、そちら側には特に見どころはありませんでした。
お店も点在しています
「三林塘」には、「三林三宝」という三つの名産品があるそう。一つは崩瓜。見た目は冬瓜みたいですが、割ってみると黄色いスイカ! 果物として食べます。二つ目は三林標布。伝統的な手織り布とその製品です(お土産にもいいかも)。三つ目は醤菜。醤油風味の野菜の漬物です。この三つを探しながら街を歩くのもお勧め。
ほかにも刺繍、肉皮(豚の皮を揚げたもの。スープに入れます)、無形文化遺産の三林瓷刻(陶磁器)などの名産も。小さなエリアにこんなにたくさん文化や名産品があるのって、上海市内ではめずらしいと思います。
食堂が3軒ほどありました
さらにさらに、上海料理とは少し異なる「三林本帮菜」というご当地料理があるのもポイント。麺料理の老舗「徳興館」を始め、上海市街地にも三林出身の名料理人が開いたお店がいくつかあるそうです。豚肉やエビを使い、見た目にもこだわった料理が特徴だそう。確かに、川沿いには良さそうなお店がちらほら。
「三林本帮館」
今回ナビは、「三林塘」でいちばんの人気だという「三林本帮館」(中林街65号。11:00〜13:00、17:00〜20:00)に入ってみました。このお店、2014年前後に中国で大ヒットしたグルメ番組『舌尖上的中国』で採り上げられ、イギリスのBBCも取材に来たという有名店。なのに、素朴で昔ながらの風情と接客を守っています。お勧めです!
食後は駅まで引き返すルートでお散歩。上海郊外の田舎といえば雑種の番犬たち。門のところできちっと仕事をしているので、近づくと怒られる(吠えられる)ことがあります。ご注意を。
いかがでしたか? 今回は平日に訪れたナビですが、次回はぜひ祝祭日やお祭りの日に再訪してみようと思いました。聞くところによると、ランタンなどが灯されるお祭りの日の夜が特にお勧めなのだそう。ぜひ皆さんも、「三林塘」へ上海の伝統文化を見に行ってみてください。
以上、上海ナビがお伝えしました。