天壇公園 (北京)

ティエンタンゴンユェン天坛公园

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北京で最も大きいと言われる壇廟建築を目の前に、中国のスケールの広さと神秘性を一身に感じられる世界遺産!

北京市内の地図をよく見ると、故宮を囲んで4つ、名前に “壇” の付く公園があることに皆さんお気づきでしょうか?東に 「日壇」、西に 「月壇」、南に 「天壇」、北に 「土壇」。
そう、北京には地球を取り巻くエレメント(要素)の名が頭に付いた4つの “壇” が東西南北に配置されているんです。この “壇” とは皇帝が祈祷する場所を意味し、昔は “皇帝の庭” とも呼ばれていたのですが、今では4ヶ所とも公園になっているんですよ。
中でも、自分を天子として天帝を祭る皇帝にとって最も重要だったのが、これら壇廟建築でも最も大規模な「天壇」だったんです。 明の永楽18(1420)年に建設されたこの場所は、現在の北京でもユネスコ世界遺産に指定された「天壇公園」として有名な観光地になっています。 総面積270万平方m、故宮のさらに4倍ものもスケール! ナビもこの広さを体感すべく、足を踏み入れることに。
公園への入り口は東西南北の4ヶ所にあります。ただ、園内の主要見所は南北の一直線上にあるので、南門から北へ抜けるルートがオススメです。
またチケットは「連票(リエンピァオ)」という通し券を買うのが便利。これがあれば、いちいち景点ごとにチケットを買う必要がありません。 門を入ると、音声ガイド機(日本語もあり)のレンタルブースも。

<音声ガイドのレンタル>
時間 8:30~17:00
料金 日本語版40元(デポジット100元が必要)
※その他、入場料などは本文最後の基本情報をご確認ください。

★圜丘(ユエンチィウ)

最初に目に入るのが、この門の奥にある白玉造りの3層の円形の壇、圜丘です。明、清朝の皇帝は、毎年冬至になるとこの圜丘中央部にある天心石の上に立ち、1年の出来事を天に報告したそうです。
圜丘の周辺には3つで1組の門があり、圜丘内外に4組ずつ立っています。この門は櫺星門(リンシンメン)という白玉石で造られ、祭壇建築のみに見られる門のスタイルだそう。
とにかくこの建物以外、周囲は吹きっさらしの大地が広がり…。旗が寒風にはためき、人々も寒そうです。では、圜丘こと “これぞ天壇の中心部分” に上りましょう。
何やら中心に人々が集まっていますね!そう、この真ん中の丸い石が天心石で、皇帝が天に向かってお話をした場所なんです。でも、そんなに大勢で乗っちゃ、神秘性のかけらも無いな~!
なお、石段の数もそうなんですが、天心石の周りに広がる扇方の石は、全て “9の倍数” で構成されています。
9は10までの数字の中で陽数(奇数)の最大数で、至高の存在である天体を表す数字。だから、各所でこの “9の倍数” が設計に取り入れられているんです。
圜丘の北側に見えるのが皇穹宇です。それにしても、無駄の無い白亜の圜丘、それをグルリと取り囲む瑠璃瓦の載った赤い壁。
圜丘に立つと、天と地の境界点を感じます。

★皇穹宇(ホヮンチョンユゥ)

先ほどの圜丘を北に抜けると、皇穹宇の門に辿り着きます。
門をくぐるその前に、門の中央分に何かかかれていますね。
皇穹宇を円形に取り囲んでいるこの壁は 「回音壁」 といい、壁に向かって話した声が180度反対側でくっきり聞こえるらしいんです。でも、実際どう試していいのかよく分かりませんでした!
門の奥へ入ると、青い屋根の円錐形の木造建築物が見えます。これが皇穹宇で、祭祀の際にはここに皇帝の先祖の位牌が置かれていました。
各所に付けられた石柱には、龍の模様が描かれています。天壇公園内の建物には、龍の他に風、雲のパターンの石柱があるらしいんです。
建物の内部を覗くとまるで曼荼羅世界のようですが、明清代の建物はどうやらこのようなデザインが主流の様子ですね。
そのまま北にある祈年殿へと抜けたかったのですが、抜け方が分からずもう一度先ほどの門から出てきました。
皇穹宇の外側は普通の公園のような憩いの場所。中には樹齢500年の桧柏があるんですが、これがまるで九匹の龍が天に向かって伸びるかのような奇妙な形であることから “九龍柏” と呼ばれたそうです。

★皇穹宇から祈念殿をつなぐ丹陛橋

先ほどの皇穹宇の外壁に沿うように北上すると、次なる門が見えてきます。
やった!と思うも、次に見える建物までちょっと離れすぎじゃない、この門!
道は広いんですが、両サイドには柵もなく下に落っこちそうな一本道。後で知ったんですが、この道は「丹陛橋」、つまり橋だったワケですね。全長360mの橋なんですが、広~い石畳の一本道はそれ以上のスケールを感じさせてくれます。
橋の途中の土産物店らしい場所で。中国古代の衣装を着たお兄さんは、たぶん店員さんなんでしょうが…やる気満々の衣装で立ち寝されると、ナビも「一体ここは店なの?違うの?」と悩まされます。

★祈念殿(チーニェンディエン) 

先ほどの赤壁の門をくぐり、目の前の神殿建築のような建物を抜けると (これも門のようなものですね)、その先には祈念殿が立ちはだかります。明代永楽18(1420)年に建てられたこの建物は、皇帝が自ら赴き五穀豊穣を祈った場所で、正月、冬至、夏至、皇帝の即位や出征の際にも儀式が行われました。
世界遺産の一部を背景に家族写真が撮れるなんて、最高だと思います!でも、かなりの風に吹かれ、少年はかなり厳しい表情に。
一見、先ほどの皇穹宇に似た建物ですが、大きさがゼンゼン違います。先ほど南から見てきた建物ですが、北に向かって建物が高くなっていっているのが分かりますか?これは北を高く、南を低くすることで天地を表現しているんだそう!
ちなみに、この階段の脇に彫られた絵をよく観察してみると、石柱と同様に下から “雲、風、龍” がモチーフになっているのを発見。
先ほどの石段を上に上がってみました。
周囲には威風堂々とした祈念殿以外に風を遮るものがなく、天と地と風だけがあるという…。このスケールは本物です!
どの観光地でもそうですが、建物の入り口付近には中が見たくて仕方がない人々で溢れます。ナビも、隙間から1ショット。
28本の柱で支えられ釘などを一本も使用しない建築方法の祈念殿。
美しい色彩を放つ瑠璃瓦は青い空、建物内部の中央にある4本の “龍井柱” は四季を現し、周囲に並ぶ12本の金柱は12ヶ月、その外の12本は12時間を現しているそうです。

★皇乾殿(ホヮンチィエンディエン)

祈念殿の北側に建つ皇乾殿では、祈念殿に祀られた神位の供養が行われていたそう。
こちらも祈念殿と同じ年に建てられ、当時は黄色いレンガの建物だったようです。
それから125年後に改修され、清代の乾隆期に瓦も塗り替えられました。
なお、公園の西門近くに斎宮という建物があるんですが、ここは皇帝が祈念の3日前からこもり、飲食、音楽、女性を絶った場所なんです。赤壁に緑の瓦が施されたこの建物、瓦の緑色は皇帝が天に対して従順であることを現しているそうです。
(※今回は、改修中の様子で見学できませんでした。)

~ここから北門へ向かいます~
さて、主だった見所も廻り終え、日も暮れてきたので北の出口へと向かいます。その前に写真のようなスロープを下っていくと、中庭のような場所に出てきました。
公園内のこうした史跡以外の部分でも、この回廊付近が一番情緒的。 奥へ奥へと歩いていくと、この近所で暮らしていると思われる老人たちが、楽器を鳴らし、歌を唄い、とても楽しそうです。
こうした日常の一コマを楽しめる、ということ。
人としての生活の原点に戻ったような気分を味わいました!
赤壁の小さい門がみえてきました、が、ここはまだ出口ではなく。
小さな森林公園のような木々を抜けると、ようやく本当の出口に到着しました!
以前「万里の長城」にて、地上から高く離れた場所で吹かれた北京の風にもロマンを感じましたが、今回の天壇はまさに大地と天と風を全身で感じられた気分!悠久の歴史を誇る北京の、その偉大さを体感です。

皆さんも、ぜひ天壇を訪れて大陸の風に吹かれてみてくださいね。

記事登録日:2007-12-10

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スポット登録日:2007-12-10

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