諸葛孔明の末裔が住む浙江省の隠れ里。悠久の歴史を刻む古い集落を探検しよう。
こんにちは、上海ナビです。
ビギナー向けの記事が多い『上海ナビ』ですが、今回は上海旅行上級者向けのスポット記事をご用意しました! 場所は、浙江省蘭溪市の「諸葛八卦村」。そう、三国志の英雄・諸葛孔明(諸葛亮)の末裔が今も代々暮らしているという歴史ある村落です。住民の名字がみんな諸葛、陰陽の形の池を中心に八卦の形に路地が続いているなど、三国志や歴史好きでなくても、ミステリアスなもの、占いや風水好きな方も興味が湧くはず。早速出かけてみましょう〜。
「諸葛八卦村」へ行こう!
「諸葛八卦村」へは杭州からバスで行くのが一般的のようですが、今回ナビは上海からのルートで時間的にいちばん速くて安い方法で行ってみました。中国旅行上級者なら楽勝(?)。ビギナーさんでも行けるよう詳しく解説します!
「金華駅」から出発!
まずは高速鉄道で上海から「金華駅」へ(乗車時間約2時間)。到着したら以下のルートでバスの発着所「金華客運西站」へ。徒歩約6〜7分でした。着いたら切符売り場の窓口でメモを見せ、「諸葛」行きの切符(20元)を買います。窓口の営業時間は5:30〜20:40。
※金華駅の外観と周辺エリアがリニューアルしています。取材当時の写真と変わっていますのでご注意ください(2020年11月追記)
ここが切符売り場入り口。乗り場と切符売り場は入り口が違うので要注意
|
|
切符、買えました〜。購入にはパスポートの提示が必要です
|
乗り場は切符売り場から向かって右手側面の入り口を入ったところにあります。目的地の「諸葛」は終点ではないのでご注意を。「千島湖」行きなど、「諸葛」を通るいくつかの路線があるようです(今回は「千島湖」行きでした)。
切符の「検票口」の欄に「6」とあるので、6番乗り場で出発を待ちます
|
|
こんなバスです。平日の乗車率は7割ほどでした
|
この「諸葛汽車站」で下車します。終点ではないので要注意
乗車時間は約1時間15分(約1時間に1本発車)。「諸葛汽車站」に着いたら以下のルートで村へと入ります。
村の入り口で入村チケット100元を買って中へ。このチケットには、村内の10か所の見学スポットの入場料も含まれています(各入り口でチケットを提示)。
坂道を上っていくとこの入り口があります。左がチケット売り場
|
|
入村チケット。各見学スポットで提示するので、ポケットに入れて携帯を
|
きちんと帰りのバスの時刻表があるのは杭州行きだけ。バスの待合室はこんな感じ(売店などはありません)
※「金華駅」行きの帰りのバスの時刻表は「ない」(!)とのこと。「諸葛汽車站」の人に聞いたところ、「到着した場所の道路の反対側で待っててください」だそう。最終は16時50分ごろで、朝から1時間半おきくらいに停車しているようです(始発ではありません)。念のため配車アプリ「滴滴打車」を試してみたのですが、これもまったく車が捕まらない! 気長にいつ来るかわからないバスを待つことにしましょう……。切符は「諸葛汽車站」の窓口で買います。
または、時刻表があって本数の多い杭州行きバスに乗り、帰りは杭州から帰ることにするのがいいかも。その場合の乗車時間は約2時間(運賃70元)。杭州の地下鉄1号線「婺江」駅近くのバスターミナルに到着するので、そこから一駅の「城站(高速鉄道の杭州駅)」駅に移動する必要があります。この辺、中国旅行上級者の力が試されます……。
民家に飾られた諸葛孔明像
☆
「諸葛八卦村」とは?1018年頃に諸葛孔明の末裔・諸葛青が現在の蘭溪市に移り住み、その後代々末裔たちが暮らしてきた村とされています。現在は村内に約4,000人の住民が暮らしており、その8割の人の姓が諸葛なのだそう。2018年現在は47〜55代目が現役で居住。諸葛孔明の教えや家訓を今も守って暮らしているといいます。英雄的な軍師でありながら医学の知識もあった諸葛孔明に倣い、中医学、薬学を専門とする住人が多いのも特徴だそう。村独自の文化、行事などは無形文化財に登録されています。
※諸葛孔明の子孫については諸説あり、確実な資料は現存していません。ただ、この地に家を構える諸葛姓の人は少なくとも700年間この地に住み続けているそう。
村のマップです
また、村の敷地内は易(古代占法の一つ)の八卦の形に設計されています。真ん中にある鐘池(陰陽の形)を中心に、放射状に8本の路地が伸びているほか、周辺にも8つの山があるという不思議な立地。村自体も小高い山の上にあるため、これまで数々の戦乱から逃れてきたと言われています。お隣の安徽省にある、同じくらいの歴史を持つ黄山ふもとの「宏村」にも行ったことがあるナビですが、そのときは文革時に破壊された像などが目につきました。でも「諸葛八卦村」にはそういう形跡が一つも見つからないんです。立地だけではない、何か不思議な力が働いているのかも……。
八卦の村を探検♪
それでは早速村内を歩いてみましょう。先ほど書いたように、8本の路地と、それに交わる細い路地が入り組んでいるため、効率的にまわれる順路はありません(侵入者を迷わせる目的でこうした設計にしたという説も)。なので、拠点を決めて行ったり来たりしながら気ままに歩くのがお勧め。ナビは食堂や民宿などが集まる「上塘」という池を拠点にしました。村全体は早足でまわって約1時間。見学スポットなどをじっくり見ながら歩くと約半日かかります。
こんな風景が迎えてくれます。
太極図の形の「鐘池」
皆さんにはぜひ実際に来ていただきたいので、見どころは少しだけ、触る程度でご紹介したいと思います。まず訪れたいのは、村の真ん中にある「鐘池」。上から見ると陰陽の太極図の形になっている池で、周辺には諸葛一族の系譜、家訓などを今に伝える「大公堂」が。その向かって右手には、村のちょっとした有名人で諸葛一族の48代目・諸葛高嵩さんの自宅兼アトリエがあります。ナビが訪れた日も御年87歳(2018年現在)のご本人がいました。直筆の扇子(鶴と鹿の絵文字風の直筆の書入り)や掛け軸を販売しています。値段は20元〜。安過ぎな気がしますが……。
中医学の野草園「天一堂」の庭から見下ろした「諸葛八卦村」
ほか、庭園で漢方薬の薬草を育てている「天一堂」(小高い山の上にあるので、ここから村全体を見渡せます)、諸葛孔明を祀る廟「丞相祀堂」、村民の暮らしや文化を展示する「郷土文化展館」などがあります。
味のある風景が見つかります
古い路地や石段(起伏があります)、白壁など、思わず立ち止まって眺めてしまう風景もいっぱい。
住人たちと交流してみよう
諸葛さん(村民)たちの普段の暮らしも観察してみて。
お土産&グルメ
素朴なお店が点在しています
お土産は手工芸品がメインになります。代表的なのは、諸葛孔明が持っていたと言われる諸葛扇。あとは易グッズ(八卦の形の占い道具)、木彫り(木彫り職人が多いので村全体がなんとなく木の香り)、酥餅(パイのようなお菓子)などなど。
食堂の店構えはこんな感じ
滞在中ナビが食べた料理はこちら。諸葛料理(?)はとにかく素朴でヘルシー。お勧めは、名物の一つ「素包」。薄い湯葉で豆腐と野菜を巻いた春巻きのような料理です。下の野菜は、サツマイモの葉っぱと茎の炒め物。クセがなくてとてもおいしかったです。あとは手打ち麺も有名とのこと。ほとんど民家のような場所で営業しているお店が多く、メニューがないのですが、相場は料理2品+瓶ビール1本で30元、麺やご飯ものは1品10元前後でした。
泊まってみよう
夜の散策も楽しみ
夜や朝の風景も見てみたかったナビは、村内で一泊することに。今回は、現地の旅行アプリ「携程」から村内でいちばん人気が高かった「昱桟民宿」を予約してみました(ローカルな民宿ばかりなので、外国人向けホテル予約サイトには村内の民宿は掲載されていないのです)。アプリでの予約が難しい方は、土日祝日を避ければ現地での飛び込みでも泊まれそうです(空いてました)。ただし、一部外国人が泊まれない民宿もあるのでご注意を。
「昱桟民宿」の外観です。平日なら飛び込みも可
ナビが泊まった「昱桟民宿」のオーナーは杭州人のデザイナーだそう。古民家の風情をそのまま生かしてリノベーションした館内は快適そのものでした。アメニティは全部揃ってますし、WIFIの速度、シャワー水圧なども文句なし。しかも、「遠くからわざわざようこそ」「夜食食べますか? お部屋に届けますね(無料)」など、サービスも洗練されていてびっくりでした。場所は「上塘」沿い。電話、微信での予約も可能だそうです。お勧めです♪
昱桟民宿(Sun shine House)
0579-8860-1999(基本的に中国語のみ/英語少し)
料金:290〜480元/二人部屋〜(朝食付き)
※2018年6月現在の情報です。必ず事前にお問い合わせください。
「諸葛八卦村」を楽しむコツ
絶対に平日を選んで
まずは絶対に土日祝日を避けること! ナビが訪れた日は雨の平日で、ナビたち以外観光客がまったくいなくて不安になるほどでした。でも、その不安な気分が「諸葛八卦村」のミステリアスな雰囲気を盛り上げてくれます。静かに散策するなら「平日の雨の日」は絶好の日(土日祝日は列車やバスも大混雑し、スムーズな移動ができるかどうかも心配です)。また、外を歩くことがメインになるので夏と冬はやや体力が必要です。エアコンがある場所はあまりないと考えた方がいいかも。蚊除け、虫刺されグッズも必須です。
歩くのが好きな人にお勧め
村内の歩道は古い石畳と石段、石の坂道です。雨の日に訪れると苔がヌルヌルですごく滑るので、滑りにくいスニーカーでお出かけを。また、石段が多いので歩くのが困難な方やお年寄りは散策がやや難しいかもしれません。また、村内には池がいくつもあるのですが、景観を守るために柵は設置されていません。歩道から急に水辺に出るので、小さい子供連れの方は落ちないように細心の注意が必要です。お酒もいろいろ売っているのですが、千鳥足も危険です。
村のおばあちゃんたち
あとは、やっぱり中国語ができた方が楽しい村です。お年寄りたちは喜んで家系の話、自宅の家屋の歴史などを話してくれますし、人懐こくてやさしい人が多い村だと思いました。ナビが訪れた日は雨が降ったり止んだりの日だったのですが、傘を持たずに宿を出て降ってきてしまったとき、食堂の人が傘を貸してくれたり、「手提げ、濡れない?」とビニール袋をくれた人もいたりしました。「家訓を守る」って、こういうことなんだろうなと考えさせられてしまいました。
のんびり気ままにどうぞ
そして、ご紹介したようにバス、宿などは事前予約不可だったり、時間が曖昧だったりするので、「予定を決めないで行く」「行き当たりばったりを楽しむ」ことが大事かも。予定通りにならないと済まないタイプの方は楽しめないかもしれません。ナビが泊まった民宿の人も、チェックアウト時に「もう一泊していきませんか?」とごく普通に言ってきたので、予定変更してもう一泊のんびりしてしまう人が多いのでしょう。旅の日程に余裕を持たせてお出かけください。
いかがでしたか? 今回「諸葛八卦村」を訪れるに当たって、いくつかの旅行記的なブログを検索してチェックしたナビ。読んでみると、やはり村の人(食堂や民宿の人)と仲良くなって、リピートしている日本人が多いということがわかりました。ナビも多分、上海の喧騒に疲れたとき、ぼーっとしたいとき、誰にも会いたくないときなどにまた行くと思います。ぜひ皆さんも、「諸葛八卦村」の不思議な魅力に取り憑かれてみてください。
以上、上海ナビがお伝えしました。