中国のハリウッドを探検! 映画ファンなら絶対行きたい浙江省東陽市の巨大撮影所。
こんにちは、上海ナビです。
ほかのアジアの国にはない中国の魅力といえば、気軽に見学できる映画撮影所が各地にたくさんあることです。今日ご紹介する「横店影視城」はその代表格。世界最大規模の撮影所で、「中国のハリウッド」とも呼ばれている場所なんですよ。海外の撮影クルーが利用することもあるという本格的なスタジオなのだそう。場所は浙江省東陽市。一体どんな場所なのか、アクセス方法、楽しみ方をナビが実際に行ってレポートします♪
「横店影視城」へ行こう!
「横店影視城」があるのは浙江省東陽市。今回ナビは「上海メインの旅行に来た個人旅行初心者」目線で、いちばん行きやすい方法で出かけてみました。拠点は「杭州東駅」。上海からの高速鉄道の乗り方、切符入手法など以下の記事を参考にしてください。
「杭州東駅」に到着したら、「公共汽車(東区)」を目指して矢印の方へ歩きます。駅構内にバス乗り場があるので便利♪ 乗り場の手前、下の階にはスタバやマクドナルドもあります。
バスは約1時間半に1本のペースで出ています。切符売り場の係員に「横店」の地名と乗りたい時間のメモ、パスポートを見せればOK。乗車時間は約2時間、運賃は片道70元です。
※トイレ休憩がないので乗車前に済ませておきましょう。改札時にもパスポートのチェックがあります。バスの時刻表は、データ欄にリンクした公式サイト内の「交通」のページで閲覧できます。
鉄道の駅がない街です。交通の拠点はここ
終点の「横店客運中心」に到着! 帰りもここで同じように「杭州東駅」行きの切符を買い、乗車します。
到着したら、ターミナルに併設されている「横店影視城遊客中心」へ。ここで撮影所の入場券を購入しておきます。どの撮影スポットを見たいか選び(記事を最後まで読んで吟味してください。スポットごとに入場料が設定されています)、料金を払うとカード式チケットに選んだスポットの情報を入力してくれます(入場時は、各スポットの入り口でこのカードを提示します)。チケットには各スポットとこのバスターミナル間を循環しているバスのフリーパスも無料で付いてきます。
※各スポットの入り口でもチケットは買えます。料金はどこで購入しても同じですが、撮影所で買う場合はバスのフリーパスは付きません。フリーパスがない場合は乗車一回につき1元をその都度支払います(釣り銭が出ないので小銭の用意を。上海の交通カードは使えません)。
※撮影所は街のなかに点在していて、それぞれ1〜7kmほど離れています。徒歩でまわるのは厳しい距離のため、循環バスの利用が便利です。ほか、市内にはタクシーも走っています。
バス停の停留所案内
バスに乗っていざ撮影所へ。循環しているので「A」か「B」のどれかに乗れば間違いありません。ターミナルから撮影所が点在するエリアまでは約10分で到着します。
以上が上海からのもっとも簡単な行き方です。「横店影視城」メインの旅にする方は、東京、大阪、那覇から直行便で杭州(杭州䔥山国際空港)へ行くのが最短。この空港から上でご紹介しているバスターミナル「横店客運中心」行きの直通エアポートバスが出ています。日本から撮影にくる俳優さんはこのルートでくるのかもですね。
「横店影視城」の楽しみ方
まずは基本情報から。「京都の太秦みたいな感じ?」などと思ってくると、比較にならない規模に呆然としてしまうはず。予習しておきましょう。
とにかく広い! 歩きやすい靴、服装で出かけましょう
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総面積は30㎢東京都23区の平均面積が26㎢とのこと。区が一つまるごと入ってしまう規模の撮影所ということです。撮影所自体のオープンは1996年で、もちろん現在も現役で稼働中。連日撮影が行われています。ここで撮影された主な作品は以下。※2019年現在
『阿片戦争』(1997年)、『始皇帝暗殺』(1998年)、『英雄/HERO』(2002年)、『PROMISE/無極』(2005年)、『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(2008年)、『キングダム(連載10周年記念実写特別動画)』(2016年)、ディズニー実写版『ムーラン』(2020年)ほか、中国国内のテレビドラマ、日本未公開映画など数100本がここで撮影されているそうです。ここで働くエキストラを主人公にしたチャウ・シンチー監督の映画『新喜劇之王』(2019年)もおもしろかったな〜。
☆見どころ
とにかく広くて移動にも時間がかかるので、じっくり見る派で1日2〜3カ所、流し見で1日3〜4カ所という感じです。興味のあるところをあらかじめ選んでおきましょう。同行者と手分けしてまわるのもおもしろいかも。料金は1カ所120〜180元(夢幻谷は295元)です。
街にたくさん貼ってある「スター出没注意」のポスター
<主なエリア>○
秦王宮:秦の始皇帝の宮殿。大作が多数生まれた必見のスポットです。
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明清宮苑:北京の故宮を原寸大で再現。圧倒される規模。
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清明上河図:北宋時代の絵巻を再現。宋の時代の街並みを再現しています。
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広州街・香港街:戦前の広州、香港のレトロモダンな繁華街と古い住宅地。
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明清民居博覧城:明の時代、清の時代の住宅と街並み。
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夢幻谷:絶叫マシンやショーを楽しめる遊園地。夏はプールも人気。
中国映画の世界にトリップ!
それでは早速エリア内を歩いてみましょう。今回ナビは夕方着、翌日昼発の短め一泊の日程だったので、3カ所に絞って歩いてみました。
巨大なスケール
<秦王宮>チャン・イーモウの『英雄/HERO』は公開当時映画館で観たナビ。ここははずせませんでした。というか、紀元前の建物を復元した場所なんてほかにないですよね。歴史に興味がある人、建築を鑑賞したい人にもお勧めです。なんと設計だけで4年もかかったそう。早起きして朝8時に行くと、馬や兵士を従えた始皇帝が出迎えてくれるんですよ。
ネットで検索すると映画『キングダム』(2019年)のロケ地という情報が見つかるのですが、ここで撮影されたのは上で紹介した10周年記念動画(同じく山崎賢人主演)のみとのこと。映画本編は浙江省寧波市の「象山影視城」で撮影されたそうです(公式HPより)。機会があればそちらも今後記事でご紹介したいと思います♪
こちらも壮大
<清明上河図>北宋の開封市を描いた絵巻を再現した巨大オープンセットです。中国のテレビでよくやっている宮廷ドラマのロケ地として有名だそう(撮影現場に遭遇する率も高いです!)。敷地内には中国古代の怪談小説『聊斎志異』をモチーフにしたお化け屋敷や雑技ショーの会場もあります。
古き良き時代の香港
<広州街・香港街>「横店影視城」のなかでもっとも古いエリア。映画『阿片戦争』(1997年)のために建てられたオープンセットだそう。レトロな街並みと古い住宅街が混在。こちらは夕方からの入場が可能で、夜の雰囲気も楽しめます。敷地内では手品や歌、ワイヤーアクションショーなどが開催されることも。
「横店影視城」をもっと楽しむ!
散策して写真を撮って、映画の世界に浸るだけでも十分楽しめる「横店影視城」。でも、以下を知っておけば2倍楽しめます!
クレーンがある場所へ。遠目でも探せます
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撮影現場を見学しよう現場を見つけるコツは、クレーンのある場所を目指すこと。行くと機材用トラックや入場規制の案内板があり、その奥で撮影している様子を見ることができます。事前情報の収集無しで訪れたナビも、今回2カ所で撮影に遭遇することができました。ただし、大スターに会うには強力な運が必要です。
地元の役者さんたち
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休憩用に食べるスイカ? それとも食べるシーン?
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こんな感じの食堂がたくさん見つかります
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食事は撮影所の外で敷地内にも食堂はありますが、お勧めは各エリアの入り口付近にある「土菜館」「農家菜」と書かれているローカル食堂。浙江省の農村料理を揃えています。スタッフやエキストラたちのロケ弁を用意しているお店も多く、撮影の打ち上げなどで利用されることもあるのでしょう。味もなかなかです。食事で困ることはないと思います。
滞在中にナビが食べた料理はこんな感じ。洗面器入りの取り分け式ご飯、久々に食べました♪
ご飯はみんなで取り分けるスタイル
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浙江省のビールといえば千島湖ビール
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困ったときの沙県小吃
あと、「横店影視城」周辺はエキストラや技術さんなど、映画の仕事をするために移住した人たちで成り立っている街。ということで移住者ターゲットのチェーン店「沙県小吃」が街の中にたくさん見つかります。麺やチャーハンなどの簡単な食事でいいとき、一人旅の方には便利なお店です
土産物店の店先はこんな感じ
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お土産ラインナップ敷地内のショップの品揃えはこんな感じ。グッズは子供向け、ファンシー系がメインでした。食べ物はオリジナルボトル入りの地酒と、金華市に隣接しているため金華ハムがよく売られていました。
☆宿泊施設が豊富
距離、見どころの規模的に日帰りでは難しい「横店影視城」。最低一泊は必要になりますが、そういった観光客はもちろん、中国各地、海外からも仕事でやってくる人が多いため、周辺にはさまざまなクラスのホテルがたくさんあります。最初にご紹介したバスターミナル併設の「横店影視城遊客中心」でも予約可能。当日飛び込みでも平日なら泊まれそうです。
立地と安さで選びました
今回ナビが泊まったのは「秦王宮」の入り口近くにある「頤和酒店」。上海市内にもあるエコノミーホテルチェーンです。中国の予約アプリ「携程」での予約で288元(朝食付き)。フロントには片言の日本語で対応してくれる方がいました。お勧めです。
頤和酒店
長征路62号(秦王宮正門向かい)
0579-8656-3333
【番外:ほかの街の撮影所をめぐる】
「ここは制覇したので別の撮影所にも行ってみたい!」「横店は遠すぎるので、ほかにもあれば」という方はこちらへ!
いかがでしたか? まだまだ書ききれない情報がたくさんあるのですが、ナビは撮影所の敷地の外の市街地、商店街などの活気や賑わいも印象的でした。きっと俳優さんたち行きつけのおいしいお店なども隠れているのでしょう。という感じでじっくり楽しむと最低3日は必要かも? ぜひ皆さんも、上海からちょっと足を伸ばして映画の世界を探検してみてください。
以上、上海ナビがお伝えしました。