近代の作家・魯迅の作品、生き方、人物像を伝える内容盛りだくさんの資料館。日本ゆかりの展示物も多数。
こんにちは、上海ナビです。
日本でいちばん有名な中国人作家といえば、魯迅なのではないでしょうか。ナビも近代作家や文学には詳しいほうではありませんが、『藤野先生』や『狂人日記』など作品名はすぐに思い浮かびます。日本への留学経験があり、帰国後も当時上海在住だった日本人たちと深く交流していたとうエピソードにも親しみを感じますよね。そんな魯迅について、より知識を深められるのが今回ご紹介する「魯迅紀念館」。早速出かけてみることにしましょう。
※中国語では、「記念」を「紀念」と表記します。
「魯迅紀念館」に行こう!
四川北路沿いの「魯迅公園」正門を入ります
「魯迅紀念館」があるのは、虹口区の大型公園「魯迅公園」内。公園入り口からの行き方はこんな感じです。
※地下鉄の駅から公園入り口までの行き方は「魯迅公園」の記事をご覧下さい。
この建物です。建物の前には魯迅の像がありました。
入り口です。入場無料!
「魯迅紀念館」がオープンしたのは1951年。現在の中国が建国されて以来初の「人物にスポットをあてた博物館」として建設されたそう。展示品は約8万点と盛りだくさんですが、入場料はなんと無料! 入り口では荷物検査を受けます。
入り口を入って左手のサービスカウンターでは、荷物預かり、車椅子貸し出しなどのサービスを行なっています(無料)。日本語のパンフもありました。おじさん二人が笑顔で対応してくれます。トイレも各階に設置。エレベーターもあります。
早速2階から見て行きましょう〜。
※館内での写真撮影は基本的に許可されています。
2階:メイン展示室
2階に上がったところ
入り口は階段を上がってすぐ左手。大型スクリーンの映像では、魯迅が上海に来た当時のことなどが紹介されていました。
このスクリーンの右手にある入り口からがメイン展示ルーム。魯迅の人生が資料や写真などで順を追って説明されています。紹介パネルは中国語と英語です。散文詩『野草』の映像は日本語字幕付きでした。ゆっくり見ているとあっという間に1〜2時間経ってしまいそうな展示内容です。
蝋人形での展示も
『阿Q正伝』の世界を再現したジオラマ
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『野草』の映像は日本語字幕付き
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魯迅といえば「内山書店」
ナビが選んだ注目の見どころは、館内に再現された「内山書店」。魯迅と交流のあった内山完造が上海で経営していた書店を再現したもので、中は本当に本屋さん(魯迅関連の書籍を販売)。店内には岡山県から贈られたという内山完造の像があります。
日本語版はありませんが……
書店内でナビが思わず立ち読みしてしまったのが『魯迅与日本友人』(周国偉著)。芥川龍之介、夏目漱石など、日本人作家と魯迅の交流が綴られた本で、魯迅が金子光晴の妻・森三千代に宛てたハガキなども掲載されていました。中国語に自信があるという方にぜひお勧めの一冊です。
貴重な本も多数展示
絶版本などを展示するコーナーには、魯迅の弟で日本文学研究家の魯周人が翻訳したこんな本も。この作品集のなかの菊池寛、森鴎外などの作品は魯迅が翻訳を担当したそう。どんな中国語に翻訳したのか興味深いです。
複製です
こちらは『藤野先生』の原稿。ただし、原稿や直筆の書簡などはすべて複製品だそう。
展示ルームの最後のコーナーは魯迅没後の資料。日本人の友人が残したデスマスク、毛沢東の隣りに内山完造が名前を並べる追悼委員会のメンバーなど、仲が良かった日本人たちに見守られて生涯を終えたことが伝わる展示になっています。
各国版の関連書籍が並ぶ出口通路
出口は魯迅関連の書籍をすべて並べたこんな通路になっています。各国語に翻訳された本も。帰国後、魯迅の本を読んでみたくなるハズです。ナビもじっくり読み返したくなりました。
1階:ショップ、文庫
1階吹き抜け下部分が企画展フロアになっています
1階には企画展フロア、簡単なショップ、魯迅ゆかりの文筆家に関する資料を集めた「朝華文庫」があります。企画展フロアでは、ナビが訪れた日はアンティーク家具店が開催されていました。
階段下にショップ
ショップではこんなグッズが販売されています。
「朝華文庫」は、呉朗西(日本ゆかりの翻訳家、出版人)、許広平(魯迅の妻)などが生前使っていたもの、その著書などが保管されている場所。作家ごとに小部屋風の展示室があります。
庭があります
出口を出たところには、魯迅の生まれ故郷・紹興の船「烏篷船」や桜の木が植えられた庭が。その一角には図書館がありますが、こちらはスタッフオンリーの施設とのこと。
ここにもある! 魯迅ゆかりのスポット
「魯迅故居」も徒歩圏内
「魯迅紀念館」から徒歩圏内でゆかりの地めぐりをするなら、「魯迅公園」内のお墓、山陰路沿いにある「魯迅故居」、四川北路沿いの「内山書店旧址」、銅像がある「多倫路」、作家仲間とよく座って話をしていたという「横浜橋」周辺もぜひ。場所を地図でチェックしてみましょう。赤い線は歩く際のモデルコースです。
老西門エリアの下町レストランです
市内で食事をするなら、魯迅の小説をテーマにした紹興酒レストラン「孔乙己酒家」へ。店内には銅像があります。
紹興へ足をのばしてみよう!
「もっと魯迅の世界に浸りたい」という方は、魯迅が育った街・紹興へ。上海からは列車で最速約2時間で行けます。資料館などもありますよ。食事はもちろん、小説『孔乙己』に出てくる店をテーマにした「咸亨酒店」で。お店の外には孔乙己の像が立っています。
魯迅をテーマにした有名店「咸亨酒店」
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ゆかりの地が散策スポットになってます
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いかがでしたか? ナビが印象に残ったのは、一角に飾られていた魯迅と内山完造、山本実彦が和室で語らう写真。その場の笑い声がそのまま聞こえてきそうな雰囲気なのです。戦前、一般の日本人と中国人にこんな交流の歴史があったことは教科書には載っていませんよね。皆さんもぜひ、「魯迅紀念館」で文学の視点から上海の近代史に触れてみて下さい。
以上、上海ナビがお伝えしました。