パスポートを紛失したら…

海外旅行中にパスポートを紛失したら、どうすればいいの?不測の事態に備えてシミュレーションしてみよう!

海外を旅行中、命の次に大事なものと言えば 「パスポート」。
もし盗難や紛失などの事態に遭ったら、不慣れな土地でいったいどう対処すればよいのか、パニックに陥ってしまうかもしれませんよね。
そんな万が一の事態に備えるべく、実際にパスポートを紛失したAさんの体験を例に、どのような手続きが必要なのか詳細にレポートしたいと思います!

Aさんの事例
単独で上海へ出張、夜のフライトで浦東空港に到着。タクシーを利用するため、到着ロビーの銀行窓口にて人民元に両替。上海市内のホテル到着後、パスポートケースごとなくなっているのを発見、両替の際にスリにあったと推測。
海外渡航経験は多数あり、上海はこれが2度目の訪問。2日目に杭州1泊、3日目の夕方発の便で日本へ帰国予定。
<紛失したもの> 
パスポート/現金500ドル/帰りの航空券/パスポートケース

※ 海外旅行中にパスポートを紛失し数日中に帰国する場合、大使館や領事館にて一時的にパスポートの代わりとなる「渡航書」を発行してもらう必要があります。その他必要となる手続きは国や地域により違うかと思いますが、今回は上海のケースについてご紹介します。

<< 翌日 >>

予定では朝のうちに杭州に向かうはずでしたが、「渡航書」の申請手続きのため奔走することに。

午前10:00  浦東空港に問合せ
空港内の遺失物管理所に電話で問合せたが、該当するパスポートは見つからず。

◆浦東空港 遺失物管理所 (Lost & Found)
電話番号  (021) 6834 6324
営業時間  9:00~20:00
場所    浦東空港 到着ロビー (6番出口と7番出口の間)
※ 中国語での問合せがベター。
※ 遺失物の受取時には、本人であることを証明するものが必要。
やむを得ず代理人が受領する場合は、委託書に遺失物の詳細、代理人氏名を記載、
代理人本人の身分証明書を持参。

午前10:15  最寄りの公安 <遺失申請>
(申請所要時間/約1時間半) ※ 必須ではありません。

中国語を話せる知人を伴い、ホテル近くの公安派出所で遺失証明を申請。 最初に窓口で書類記入、その後別室にて私服刑事から調書を取られました。

当初「浦東空港で紛失したなら浦東の派出所でないとダメ」と言われてもめましたが、盗難事件として立件するわけでなく、紛失の事実を証明する書類のみ必要だと説明すると発行してもらえました。
◆必要なもの:
・身分証明書(日本の運転免許証など)
・あればパスポートのコピー
※ 紛失した時の状況を説明する必要があり、英語対応はしてもらえないので、中国人か中国語が堪能な方の付き添いが必須です。

~こちらが公安でもらった証明書~
Aさんはパスポート番号や発行日などの情報を控えてあったので、スムーズに申請ができました。派出所での申請は必ずしなければならないわけではありませんが、現地の警察による証明書をもらっておくと、海外旅行保険で損害が補償される場合あり。

実はクレジットカードも、持っているだけでも海外旅行保険の損害補償が適用されるものもあるので、要チェックですよ!発行された書類は、コピーを2部ほど取っておきましょう。
[出入境証件報失証明]
パスポート紛失の証明(公安)

[出入境証件報失証明] パスポート紛失の証明(公安)

[上海市公安局案(事)件接報回執単]
調書の控え

[上海市公安局案(事)件接報回執単] 調書の控え


午前11:45  証明写真撮影
これから向かう出入境や領事館などで必要となる、申請用の写真を撮影。
後でわかったのですが、次に行く出入境でも写真撮影機があるので、そちらを利用してもいいかもしれません。

午後 14:00  出入境管理局 <遺失申請>
(申請所要時間/30分) ※ 通常はもっとかかります。

領事館での「渡航書」申請には、最寄の公安派出所でなく出入境管理局(こちらも公安局の下部組織)が発行したパスポート遺失証明が必要です。海外旅行保険の損害補償を申請する必要がない方は、直接こちら出入境に向かいましょう。
★出入境管理局
住所  上海市 浦東新区 民生路1500号 (迎春路の近く)
電話 (021)6854 1199、ビザセンター(021)2895 1900
受付時間  9:00~17:00 (申請受付窓口は休憩なし)
休館日   日曜・祝日
ホームページhttp://218.242.152.134:9080/eemis_tydic/index.jsp
<アクセス>
・地下鉄2号線「上海科技館」3号口を出て、そのまままっすぐ迎春路をしばらく歩きます。 「合欢路」を越して「民生路」にぶつかる手前の右側に入り口があります。徒歩約10分。
・市内中心からタクシーで約30~40分。
玄関を入って左手のエスカレーターで3階に上がります。 玄関を入って左手のエスカレーターで3階に上がります。

玄関を入って左手のエスカレーターで3階に上がります。

エスカレーターを上がったところにある番号札は上海に居住するためのビザ申請用。
パスポート紛失の場合は取る必要はありません。
10番~15番で、空いている窓口に行き、パスポートを紛失した旨を告げます。

英語が話せるスタッフもいます。こちらで必要書類を渡されるので、その場で記入します。
◆提出するもの:
・护照遺失経過説明書 1枚記入
・証明写真2枚
・あれば公安の証明書のコピー1式

本来は2日後に交付されることになっているのですが、領事館の方から「粘れば早く出してもらえるかも」と伺っていたので、翌日のフライトで帰国予定である旨を説明。

Aさんは午前中に公安でもらった証明書のコピーを一緒に提出したので、その場ですぐに発行してもらえました。本来ならこちらで盗難や紛失の経緯を説明するので、少し時間がかかると思われます。これで公安で費やした時間を取り戻すことができました。 係官の裁量しだいという印象だったので、所要時間は運によるかもしれません。

午後 15:30過ぎ  日本領事館
(申請所要時間/約1時間)

こちらで一時的にパスポートの代わりとなる、帰国のための 「渡航書」 の発給を受けます。 建物に入る前に警備の方へパスポートの提示が必要、Aさんはパスポートを紛失しているので出入境管理局でもらった書類を提示。
つきそいの方も日本のパスポートを持参しないと中へ入れないので、ご注意ください!
★在上海日本国総領事館
住所 上海市虹橋開発区万山路8号(兴义路の近く)
電話 (021) 5257 4766
開館時間 9:00~17:00
窓口受付 9:00~11:30、13:30~15:30
休館日  土日、中国の祝日、年末年始
ホームページ www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp

<アクセス>
・地下鉄2号線「娄上関路」からタクシーで約10分。
・市内中心からタクシーで約30~40分。
・出入境管理局から、地下鉄+タクシー利用で約50分、約30元。
・出入境管理局から、タクシー利用で約50分、約70元。

敷地内に入る前に、X線による手荷物検査と入場記録の記入をします。 領事館の入り口を入ったら、番号札をもらいます。番号を呼ばれたら窓口(ガラス張りのブース)に行き、記入する書類と記入例をもらいます。

実は領事館への到着が受付時間を少し過ぎていたのですが、途中車の中から電話をし、「どうしても明日帰国しなければならないので」とお願いしたところ、特別に受け付けてくださいました。

◆必要なもの:
・「渡航書」「紛失・盗難・焼失」の申請書 各1枚記入
・「护照遺失証明」(出入境管理局 発行)
・証明写真2枚 (6ヶ月以内に撮影した同一のもの)
・手数料 170元
※ すぐに帰国しない場合は、渡航書でなく、「パスポートの再発給」を受けます。その場合は上記に加え、戸籍謄(抄)本が必要です。

窓口に上記のものを提出してから1時間ほど待機。待合室には、TVや雑誌などが置かれています。名前を呼ばれ別室で領事との面接を経て、無事に「渡航書」が発給されました。
※ 上の<記入例>は領事館で用紙とともにもらえます。 ※ 上の<記入例>は領事館で用紙とともにもらえます。

※ 上の<記入例>は領事館で用紙とともにもらえます。

渡航書は1週間有効で、この期間に再び浦東の出入境に行きビザの発給を受けた上で帰国しなければなりません。
こちらは「渡航書」と、領事館から出入境管理局へのレターの写し。 こちらは「渡航書」と、領事館から出入境管理局へのレターの写し。

こちらは「渡航書」と、領事館から出入境管理局へのレターの写し。


午後18:00  上海南駅到着 杭州への切符購入
翌朝まで出入境でのビザ申請手続き出来ないので、予定を大幅にずれ込んだものの、杭州へ向かうべく鉄道駅へ。すでに夕方のラッシュアワーに突入、領事館から上海南駅までタクシーで約20分、約30元かかりました。駅では当日の和諧号(新幹線車両)のチケットが意外にすんなりと購入でき、翌朝の杭州→上海の復路チケットも同時に時間を変更。

<< 翌々日 >>

午前9:00  上海南駅 戻り
朝早い和諧号で杭州から上海に到着。駅1階のタクシー乗り場から、昨日訪れた浦東の出入境管理局へと向かいます。道はやや混雑していて、タクシーで約40分、約60元。

午前10:00  出入境管理局 <ビザ申請>
(申請所要時間: 約30分)
3階の待合席の柱の周りに各申請の帳票が並んでいます。
こちらで「外国人签証、居留許可申請表」に記入します。
記入を終えたら、10番窓口(Express)に提出。

◆提出するもの:
・外国人签証、居留許可申請表 1枚記入
・渡航書 (領事館発行)
・出入境宛のレター (領事館発行)
・証明写真1枚
これも本来は2~3日後の受取だそうなのですが、今回は何も聞かれずに即日発行で処理してもらえました。
こちらが、受取票。
受取予定時間は30分後の11時と書かれています。
発給が済んだ書類は、1階の玄関を入って右手の、カフェの前にある窓口で受領となります。昨日から、想像以上にスムーズに手続きが進んでいくことにちょっと驚きながら、カフェでしばし待ちます。
…しかしながら、ここは中国、やはりそう甘くはなかった!
11時に1階の「領収処」1番窓口で聞くと「すぐ出来るから」と言われるも、11:30になってもビザは下りず。申請をした3階のカウンターに行って聞いてみたところ、まだ3階に書類があり処理されていないとのこと。事務局が11:30~13:30まで昼休みのためどうしようもなく、午後また取りに来ることに。

午前11:30  待ち時間を利用し、「豫園」へ
周りに何もない出入境で2時間も過ごすのはもったいない!ということで、地下鉄で南京東路へ出て、そこからタクシーで観光スポット「豫園」へ。豫園商場の小吃(シャオチー=B級グルメ的な軽食)店や土産物屋をのぞきながらブラブラ。
往復に1時間かかるので、豫園商場にいたのは実質1時間。

※ 出入境の最寄り駅である、地下鉄2号線「科技館」駅には、以前上海の中心部にあった「シャンヤン市場」が移転した大型礼品市場が併設されているので、こちらで時間をつぶしても良いかもしれません。

※ 地下鉄で3駅、タクシーで約10~15分の浦東「陸家嘴」エリアには、東方明珠タワーや金茂大厦などの観光スポットがあります。巨大ショッピングモール「正大広場」には飲食店も充実。

午後13:30  出入境管理局 <ビザ受取>
出入境の1階、カフェ前へと戻ってきました。
受取の際は、まず「領収処」1番窓口で受取票を見せて書類が出来ているか聞き、確認後に1番窓口の右側にある「収費処」と書かれた窓口(番号はどれでもOK)で支払いをします。(160元)
支払後、受取票を持ってまた1番窓口に行き、ビザのシートが張られた渡航書を受け取ります。 Aさんのビザはなかなか下りなかったので、また3階まで聞きに行ったり、1階の窓口で何度も確認したりと、中国語が全くできないと厳しい感じでした。
~手続きがすべて完了!~
このビザつき渡航書があれば、中国からの出国には問題ありません。
出入境、領事館のスタッフの方々はどちらも親切で柔軟に対応してくださり、思った以上にスムーズに手続きが済みました。ただし出入境(浦東)⇒領事館(虹橋)⇒出入境(浦東)、と東西を往復するのに時間がかかるため、手続きに2日はかかると見ておいたほうがよさそうです。
Aさんは航空券も紛失したので新規購入。空港についてからでは席が取れない可能性があるので、航空券を購入される場合はお泊りのホテルのフロントやコンシェルジュで手配可能か相談してみるとよいと思います。

~海外で心がけたい、注意事項~

上海は比較的治安がよい方だと思いますが、慣れない土地では注意力が散漫になりがち。特に空港、銀行など狙われやすい場所では、用心しすぎるくらいでOKですよ!

1. 空港の両替所付近には、専門のスリがいるので特に注意。   なるべく現金が人目に触れないよう気をつけましょう。

2. 人の多い場所では、バッグなど荷物は必ず体に密着させておく。床に置いて両足ではさんでいるバッグのファスナーを開けようとするスリもいます。

3. ぶつかったり妙に接近してきたりする人物に注意。話しかけて注意を引き付け、グルになったスリが反対側から持ち物を狙う場合もあり。

4. 後ろを振り返るなど、「警戒しているぞ」と素振りでアピール。

5. パスポートの写真があるページのコピー、証明写真を数枚、用意しておく。 紛失時に、パスポート番号や発行日などが正確にわかっていると手続きがスムーズ。

6. 滞在中は、パスポートや航空券はホテルのセイフティーボックスに保管。外出の際は、身分証明が必要になった場合に備えパスポートのコピーを携帯する。

7. 加入しているクレジットカードの海外旅行保険適用範囲を確認しておく。掛け捨ての海外旅行保険を利用する場合は、海外ヘルプデスクなど連絡先を控える。

海外が初めてという方だけでなく、旅なれた方でも不測の事態は起こり得るもの。「自分に限って」と考えず、皆さんも旅行前には準備万端、整えてくださいね。
備えあれば憂いナシ!安心して旅を楽しみましょう!
以上、上海ナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2007-11-19

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