第7回上海ビエンナーレ (2008年)

遷りゆく上海の今を反映する2年に1度の大型アート展「第7回 上海ビエンナーレ」がスタート!世界で活躍するアーティストにも注目です。

こんにちは、上海ナビです。
上海で2年に1度開催される 「上海ビエンナーレ」 が今年もやってきました! 1996年からスタートし、今期で第7回目を迎えるビエンナーレのコンセプトは “ 快城快客 (トランス ローカル モーション) ” 。この四文字の言葉が表すのは、まさに今の上海!!!

周辺の地方都市や農村部から多くの人々が新しいチャンスを求めて流入し続ける上海ですが、今やそれは国内だけの現象にとどまりません。不確実かつ無限大の “ 何か ” を求め海外からも人々が洪水のように流れこむ上海は、街も人々もコミュニケーションも多様化の一途をたどるばかり。
そんな現代上海を反映するかのごとく、「人口流動と移民文化」 が今期ビエンナーレ最大のテーマ。中国の一都市にして、多様なパワーや矛盾を内包するこの上海を、各国からのアーティストがまさに 「内と外」 からの視点で多様に表現しています。

~ 過去の上海ビエンナーレとそのテーマ ~

今や国内外から多くの関心を集めている 「上海ビエンナーレ」 ですが、初回の年と続く第2回目までは国内アートに焦点を当て開催期間も約1ヶ月と、今から思えばかなりシンプルなアート展だった様子。しかし、そこに変化が訪れたのが2000年。この年から海外のキュレーターも企画に参加するようになり、現在のように多国籍かつ多様な表現手法が約2ヶ月に渡り展示される一大アートイベントへと発展を遂げました!
1996年(第1回) / 開放的空間 (Open Space)
1998年(第2回) / 融合与拓展 (Inheritance and Exploration)
2000年(第3回) / 海上・上海 (Spirit of Shanghai)
2002年(第4回) / 都市営造 (Urban Creation)
2004年(第5回) / 影像生存 (Techniques of the visible)
2006年(第6回) / 超設計 (Hyper Design)
毎回、その時々の中国−上海のムードを端的に凝縮してテーマとするビエンナーレですが、こうして歴史を振り返るとビエンナーレ自体も上海と同じ歩調で進化していっているのが分かります。これぞ、通常のアート展と違う面白さ。だからこそ、注目度だってピカイチなんです!
~ 館内では、遷り行く “ 上海 ” を他方向から展示! ~
9月9日 (火) から一般公開された第7回の 「上海ビエンナーレ」 は、今回も上海美術館をメイン会場に、21カ国59組のアーティストの作品が目白押し。それぞれ 「夢想広場 (夢の広場)」 / 「遷徙家園 (家族の移住)」 / 「移民年代 (移民世代)」 / 「記憶碼頭 (記憶の埠頭)」 という4大テーマで、上海の変遷が様々な角度から表現されています。

館内に入ってまず目を引くのが北京のアーティスト盧昊 (Lu Hao) の 「風景シリーズ」。人民広場の地下ショッピングモールをモチーフに描いた絵は、よく見てみるとまるで謎解きのようなスタイルで現代が表現されているんですよ。
こちらは人気アーティスト劉野 (Liu Ye) の作品 「旅行者」 です。可愛くて毒のある雰囲気がいつも印象的な北京のアーティストですが、今回もまた独特のタッチでテーマを表現しています。
海外アーティストの映像作品やインスタレーションの前では、じっくり鑑賞していく人々も。直感的なモノというより、ちょっと立ち止まって考えるようなアートもたくさん展示されています。
巨大にして複雑な絵画には、旅行や移動で行きかう人々のなかに政治や文化やスポーツなどあらゆる分野の著名人たちも。
こうした現代都市を象徴する建造物を題材とし、クリアに、またぼかしを入れたかのように表現しているものもあります。
(左は上海の東方明珠塔、右は北京の中央電視台CCTV新社屋)
一つ一つ細かい線をたどって解読していくようなオランダ人アーティストの作品 「上海夢−ホールディング アン アーバン ゴールドカード」 は、鑑賞者にとても近い雰囲気があり、熱心に見る人の姿でいっぱいです。
そして、フロアに散らばる荷物たち! これもれっきとした作品の1つでその名も 「行李 (旅行かばん)」、勝手に動かさないようにしましょう!
インスタレーション作品の中で最も大きくて目立つのが、北京の女性アーティスト尹秀珍 (Yin Xiuzhen) の 「飛行器」。異型の白い物体は、三輪車/自動車/飛行機がつながり合った移動道具 (?) だ! この作品では、農村、都市、世界が、矛盾をはらみながら共存する姿が表現されているそうですよ。
2階部分は、上海の歴史を年表と写真で見せる展示が施されています。なかなか興味深いものばかりで、もう一度時間をとって見にきてみたいです。
3階は 「遷徙家園 (家族の移住)」 をテーマとした大型作品と映像作品などが展示されていますが、最も注目を集めているのが現在北京に在住の中国人アーティスト 岳敏君 (Yun Minjun) の 「カラフル ランニング ダイナソー」 ! 今までの彼の多くの作品同様に、皮肉なほど大きな口をあけて笑う人々が続きますが、今回は人の姿をした恐竜だ!
映像作品の脇にある、白い物体 … 題して 「糖塑記念碑」。整然と並ぶ角砂糖 (?) ですが…?! オランダ人夫妻による作品です。
忽然と表れたプレーンな空間では、ここを訪れる人々が背の高さと同じ位置に、日付と名前を記していきます。ルールとしては名字の漢字1文字なんだとか。でも、英語でキャシーとか書いてあったけど?
引き続き美術館の4階まで、絵画/映像/インスタレーションなど、とにかく盛りだくさんの展示が続きます。本当にしっかり鑑賞するなら、1回の来場だと疲れちゃうかも! でも、好みの絵画に出会うとやっぱり見いってしまいます。
さらに、アートは美術館の外にも続きます。異文化でのコミュニケーションをテーマとした 「バベルの塔」 や、美術館の外壁一面を大小160匹のアリが這う 「ビッグ カラフル アンツ」 も、お見逃しなく!
また、館内の鑑賞が終了して出口のゲートに向かうまでの通路には、「我的人民広場」 として小学生から大人まで様々な市民による “ 上海の印象 ” や “ 昔の家屋 ”、“ 習慣文化 ” などを題材とした黒板のアートが展示されていますよ。これも、ちゃんと読むとどれも興味深いことばかりなんです。
ここでご紹介したのは、展覧内容のほんの一握り。直感的に受け止める作品から、じっくり解読していく楽しさのある作品まで、様々な表現でこの激流のような上海が表現されています。アートに関心がある方も、上海そのものに関心がある方も、この2年に1度の 「上海ビエンナーレ」 はぜひ訪れてもらいたいイベントです。期間は11月16日までと、たっぷり約2ヶ月の開催なので、旅行者の方も在住者の方もぜひ時間を見つけて足を運んでみてくださいね!
以上、上海ナビがお伝えしました。

その他情報

〜料金〜
● 一般チケット/20元
● 学生チケット/5元 (国外学生は、国際学生証の提示が必要)
● 団体チケット/16元 (20人以上)
※ 70歳以上の方は入場無料 (パスポートなど、身分証明の提示が必要)
※ 身体障害者の方は入場無料 (身体障害者手帳の提示が必要)

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-09-10

ページTOPへ▲

その他の記事を見る