NHK土曜ドラマ『上海タイフーン』大解剖

人生をリセットしようと上海に乗り込んだ日本人女性の奮闘を描いた『上海タイフーン』。ロケ地から名ゼリフまで徹底的に迫ります!

こんにちは、上海ナビです。
2008年9月13日~スタートしたNHK土曜ドラマ 『上海タイフーン』、みなさんごらんになってますか?
木村多江、松下由樹、MEGUMI、台湾のイケメン俳優 ピーター・ホーなど豪華キャストが参加し、ほとんどの部分が上海で撮影されたこのドラマ。いや~、これがハマる、ハマる!

疾走する激動の大都会・上海を舞台に、日本人女性・美鈴が自分の居場所を見つけるために奮闘するというストーリー。中国人と日本人のビジネスに対する考え方の違いや、日常生活でありがちなトラブルなど、中国に関わったことがある人なら 「あるある!」 と思わず苦笑してしまうこと間違いナシ。

果たして美鈴は上海で自分の幸せを見つけることができるのか? これを書いている現在、まだ最終回を見ていないナビは、ラストがどうなるのか気になってしょうがありません!
再放送やDVDなど(2008年10月13日現在、どちらも未定のようですが)でごらんになる方もいるでしょう、ということでネタバレにならない程度にお伝えしたいと思います。
それでは、行ってみましょう!
【放送スケジュール&ストーリー】
● 2008年9月13日~毎週土曜、全6回
● NHK 総合/デジタル総合 (午後9時~)、NHK BSハイビジョン (午後6時~)

東京のアパレルメーカーで営業チーフを務める32歳の美鈴。キャリアも恋も順調のはずが、ふとしたことから会社を辞めざるを得なくなり、6年つきあった彼からも別れを切り出される羽目に。再就職もうまく行かず落ち込むが、雑誌の特集で目にした 「再出発のチャンス」 に賭けてみようと上海へ乗り込みます。ところがチャンスが転がっているはずの上海で待っていたのは、厳しい現実の数々・・・。言葉の壁や文化の違いに苦労しながら、様々な人と出会い、自分を見つめ直し人間的に成長していきます。

【主な登場人物】
★木村多江 ・・・ 野村美鈴(メイリン)。仕事も恋も失い、リベンジのため大嫌いな上海へ。
★ピーター・ホー(何潤東) ・・・ 曹飛(ツァオフェイ)、やり手の若手投資家。
★ 松下由樹 ・・・ 三井香/バツイチで子持ち。上海在住5年、フラワーショップ経営。
★ MEGUMI ・・・ 遠野麻里/美鈴に部屋を紹介したことがきっかけで、ルームメイトに。
★ 林丹丹 ・・・ 黄琳(リン)、麻里と美鈴の家の近所に住む少女。
★ 古谷一行 ・・・ 美鈴の父。10年前に仕事で上海に渡り、そのまま失踪。
★ 原日出子 ・・・ 美鈴の母。鳥取でうどん屋を切り盛りしている。

~ピーター・ホーにクローズアップ!~

ここで、ピーター・ホーをご存じない方のためにご紹介!

★ピーター・ホー (何潤東)
有能な若手投資家を演じるピーター・ホー。ナビも以前からずっと注目してきた台湾のイケメン俳優ですが、このドラマで彼の魅力にハマってしまった女性は少なくないハズ! 長身でスマートな身のこなし、コミカルからシリアス、都会派ラブストーリーから時代劇アクションまで幅広いジャンルを演じられるマルチなスターです。
<経歴>
1975年9月13日、米国カリフォルニア生まれ、両親は香港人。幼少の頃に台湾に移住、13歳でカナダに留学。大学2年生の時に台湾に帰った際にスカウトされ、1998年に歌手デビュー。以来、中華圏を中心にTVドラマ、映画、CMに大活躍中。

<代表作>
●台湾TVドラマ
2002年 『雪地裡的星星 (星が輝く夜に)』
2003年 『情定愛琴海 (エーゲ海の恋)』
●大陸TVドラマ
2004年 『玉観音』 『一米陽光 (1メートルの光)』
2005年 『荊軻伝記 (始皇帝暗殺 荊軻)』
2006年 『少年楊家将』
●香港映画
1999年 『縁分2000 Deja Vu』
2000年 『暗闘』
2004年 『密情追跡 The Secret Pursuit』
●日本映画
2003年 『T.R.Y.』 『仮面ライダー555』
2004年 『着信アリ』

~ロケ地を探せ!~

上海に旅行に来たこと、住んだことのある人にとっては、見覚えのある街並みがたくさん登場するこのドラマ。2007年7月に上海でロケを開始したものの、主演の木村多江さんの妊娠により放送が1年遅れたんだそうです。この間に、ドラマに登場した風景にはすでに変化が ・・・ 上海の発展の早さを実感!

<外灘の高架ランプからの夜景>
カーブを描く延安東路の高架道を降りていくと、突然目の前に開ける外灘(バンド)の絶景! ナビも大・大・大好きだったこの角度からの風景、残念ながら、もう二度と見ることはできません。
この高架下り口のスロープは、外灘大改造の工事で2008年2月に取り外されてしまったんです!

<浦東の高層ビル群>
第1話、美鈴と曹飛が、黄浦江でクルーズディナーを楽しむシーン。後ろに見える浦東のビル群の中に、上海ヒルズ (2008年オープン) がない! でもドラマの設定では、このシーンは2007年となっているので、これでいいんです。
他にも、上海を代表するスポットがたくさん登場しています。

<浦江飯店>
美鈴が、出張で初めて上海を訪れた時に泊まったのが 浦江飯店。 ドラマの中で外観が写ったときに、正面玄関上の文字が 「黄浦飯店」 となっていたので一瞬違うホテルかと思いましたが、どう見ても外観・内観とも間違いなくこちらのホテルです。看板はCGで変えたのかな?
浦江飯店は、北外灘に建つ有名なクラシックホテル。美鈴が打合せをしていた1階のカフェや、香が花を生けていたロビーも、重厚な雰囲気たっぷりです。
このホテルは、モックンとビッキー・チャオ (趙微) 共演の 「夜の上海」、上戸彩主演 「李香蘭」 にも登場しています。
<徐家匯・港匯広場>
地下鉄1号線 「徐家匯」 駅直結のショッピングモール 「港匯広場」。上海にやってきた美鈴は、上海での再出発を心の中で誓います。徐家匯(シュージャーフイ)はあまりオシャレなエリアではないけれど、たくさんのデパートやショッピングモールが集まり、地元の若い子たちで賑わいます。
<外灘の遊歩道>

<外灘の遊歩道>

<南京東路歩行街>

<南京東路歩行街>

<豫園商城>

<豫園商城>

<ギャラリー街 莫干山路50号>

<ギャラリー街 莫干山路50号>

旧租界エリアの歴史建築や、ちょっとツウな建物・ストリートもたくさん登場し、上海らしさ満点!

<河濱大楼 Embankment House> 
北蘇州路×江西北路
MEGUMI演じる麻里に、美鈴が最初に案内された、蘇州河沿いのアパート。
1935年竣工、ユダヤ人大富豪ビクター・サッスーンが建てたもので、和平飯店の北楼や外灘三号なども手がけたパーマー&ターナー事務所による設計です。
麻里のセリフにあるように、当時は上海で最高クラスのマンションで、屋上にはプールがあったんだそうですよ。

<上海郵政総局> 四川中路×北蘇州路
アパートを見た後に四川路橋を渡りながら、美鈴が 「将来は上海で起業するの。」 と無邪気に語るシーン。「そう・・・」と含みのあるあいづちを打つ麻里の後ろにチラリと見えているのは、上海郵政総局です。1924年竣工、中国で三番目にできた郵便局で、郵政博物館が併設されているんですよ。
四川路橋の上からは、目の前に上海郵政総局、左手に河濱大楼、右手には 浦江飯店 が見えます(左の写真の中央、デコボコした茶色の建物 上海大廈の右側に隠れるように建っている、低層の建物が浦江飯店)。この3ヶ所は、歩いて回れますよ。

<美鈴の出勤ルート> 
襄陽北路×長楽路
美鈴が出勤途中に焼餅 (シャオビン) を買ったのがこちら。この交差点には、小吃店が集中しているんですよ。
 
ほおばりながら歩いていく風景には四川中路 (×南京東路) や、外灘の遊歩道などが出てきて、ルートにはかなりムリがあるようですね~。

<香が経営するフラワーショップ> 
巨鹿路828号 (富民路と常熟路の中間)
街路樹から判断するに旧フランス租界エリアに違いないけど、ドコだろう~! と散々悩んだ挙句、「そういえば前に巨鹿路で日本のTVがロケやってた!」 と思い浮かび、行ってみたらビンゴ!
まさかこのドラマの撮影だったなんて・・・知ってたらシッカリ見物したのに~!
ここは敷地内で2つのお店に分かれていて、右が本や雑貨のお店、左が服やバッグのお店。両隣をカフェに挟まれているので、すぐ見つけられますよ。
行ってみたい方は、斜め向かいにあるネイルサロン 「ヘレンネイルスパ (巨鹿路店)」 のマップを参考にどうぞ。

<フラワーアレンジのコンペ会場> 瑞金賓館・1号楼ウラ
イタリアの宝飾ブランドのフラワーアレンジ受注を賭けて行われたコンペの場所は、上海に住んでいる人なら一目でピンと来たのでは? そう、あの有名なクラシックホテル 瑞金賓館 です!
瑞金二路の入口からホテル敷地内に入り、噴水の手前で左側の小道 (「百合苑」の標識が目印) を入っていくと1号館のウラに出ます。ちょうど、新婚カップルが記念写真を撮影中。目の前のガーデンでは、毎週末のようにウェディングパーティーが開かれるんですよ。
このホテルは広告撮影にもよく使われるため、本来は無断での写真撮影はNG。1号館のウラまでくれば大丈夫ですが、瑞金二路の入口を入ってすぐの辺りで写真を撮っていると守衛さんに怒られるので、ご注意を。

<ドア周りに特徴のある歴史建築> 
延慶路153号 (華亭路 付近)
第3話で、コンペが終った夜、美鈴が曹飛に 「なんだか今日は上海が素敵に見える」 と言うシーン。
実はここ、ナビが以前住んでいた家から徒歩1分とかからないご近所なんです。
1934年に建てられた、歴史建築のガーデンハウスです。地下鉄1号線 「常熟路」から徒歩約3分の場所にあり、ここから巨鹿路のロケ地 (フラワーショップ) まで、歩いて10分くらいで行けますよ。

<美鈴が着ていた服> 田子坊 (泰康路) 内 「ROUROU」
ロケ地じゃないですが、今上海で注目のスポット田子坊 にある洋服屋さんで、美鈴が着ていた服 (第1話の冒頭、リンちゃんの回想で美鈴が窓を開けて手を振るシーン)をたまたま発見! ロケ地めぐりの途中に田子坊を通り抜けようと歩いていたら、ホントに偶然この服が目に入ったので、ちょっとビックリしました。お値段は、2080元だそう。
ネオアジアをコンセプトとする日本人デザイナーさんのお店、とてもカワイイので田子坊散策を兼ねてぜひ見に行ってみてくださいね。

~上海タイフーン☆名言集~

「新的旧的都混在一起、現在上海是世界上最有意思的地方。」
(古いものと新しいものが混在している。上海は今、世界で一番面白い街。)
曹飛(ピーター・ホー)/第1話より
混沌としたエネルギーに満ちあふれ、ものすごいスピードで変化・発展し続ける上海。旅行に来て、その魅力に取りつかれてしまう外国人が少なくないんです。

「上海で生きていこうと思ったら、人を信用しないことよ。」
三井香(松下由樹)/第2話より
騙したり騙されたりという話を、身近でしょっちゅう耳にする上海。最初から相手を100%信じることなんてあり得ません。でもそんなシビアな社会でも、見知らぬ人から思わぬ親切を受けることもあるし、自分をしっかり持って見極めていけば、かけがえのない友人関係を築けたりもする。すべては自分次第、人付き合いも真剣勝負なんです。

「誰だって居場所が用意されているわけじゃない。自分で作るんだ。」
曹飛(ピーター・ホー)/第3話より
この言葉、胸にズシンと来ますね~。チャンスを得たいと思うなら、与えられるのを待つのではなく、自分で道を切り開かなければならない。これは上海だけじゃなく、どこに居ても言えることですよね。

このほかにも心打たれる名言が目白押しなんですが、あとはドラマをごらんになってくださいね! (再放送やDVD発売の予定については記事の最後を参照)

~♪ ドラマで覚える中国語 ♪~
中国語(普通話=北京語)を学んでいる方にとっては、このドラマはより楽しめるんじゃないでしょうか?
上海人同士でも北京語で会話している、という不自然さはさておき (上海人同士は絶対に方言である上海語でしゃべりますが、まぁドラマですからね・・・)、教科書には出てこない、簡単で使える中国語を覚えるチャンスですよ!

我们换个地方,谈谈吧。 
[ wo3 men huan4 ge di4 fang tan2 tan ba/ウォメンホァンガディーファンタンタンバ ] 
場所を換えて話しましょう。

一定合得来的。 
[ yi2 ding4 he2 de lai2 de/イーディンハーダライダ ] 
きっと気が合いますよ。

要不然我不買了。 
[ yao4 bu ran2 wo3 bu2 mai3 le/ヤオブラン ウォブーマイラ ] 
これ(以下の値段)じゃなきゃ買わないわよ。

那当然啦。 [ na4 dang1 ran2 la/ナーダンランラ ] そりゃあたりまえさ。

対脾気 [ dui4 pi2 qi/ドイピーチ ] 相性がよい

里弄 [ li3 long4/リーロン ] 上海の長屋形式住宅とその路地
房東 [ fang2 dong1/ファンドン ] 家主、大家
合伙人  [ he2 huo3 ren2/フーフオレン ] パートナー、共同経営者

~興味があれば、こちらもどうぞ~

◆ドラマ主題歌
mihimaru GT (ミヒマル ジーティー) 『幸せになろう』
ドラマを見た後に流れるこの曲、思わずジ~ンときてしまいます。
2008年10月22日にユニバーサルミュージックよりシングル発売予定。
左枠の下方、「ニュース・ご案内」 の下 「過去のドラマ・再放送」 をクリック
(※ 2008 年 10 月 13 日現在では、再放送や DVD 発売は未定のようです)

◆ 『上海タイフーン』 講談社 700円
塩坂佳子・著/福田靖・監修
ドラマのノベライズです。

◆ 『上海ジャパニーズ 日本を飛び出した和僑24人』 
講談社+α文庫 720円
上海在住のフリーライター・須藤みか著。
エンディングのクレジットに「上海風俗考証」としてお名前がありました。

現実の生活ではトラブルなんて日常茶飯事、決して甘くないけれど、いつか夢がかなうかもしれないと思わせてくれる不思議な街、上海。ドラマの中では上海の熱気や魅力がたっぷり表現されていて、ナビはすでに住んでいる身にも関わらず、上海に行きたくなっちゃいました! よいドラマを作ってくださったNHKさんに感謝です!!
みなさんも、“ 世界一おもしろい街・上海 ” を訪れて、この躍動感を体感してくださいね。
以上、上海ナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-10-14

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