中国茶★特集、その2(茶器編)

中国茶をおいしく味わうコツは茶器にあり! 上海で手に入るこだわり茶器とオススメショップをご紹介。

こんにちは、上海ナビです。
上海土産の定番といえば中国茶。でも、持って帰って自宅で入れてみたら、「お茶屋さんで試飲したときと味が違う」「あの茶館で飲んだときはおいしかったのに・・・」なんていう経験がある方もいるのでは? その原因は、「茶器」にあるのではないでしょうか。中国茶は、お茶の種類によって使う茶器も変わるそう。でも、「このお茶にはこれ」という基本知識だけ覚えておけば、自宅でも上海で飲んだあの味を再現することができるんです。というわけで、茶器のあれこれを調べに早速お茶市場に出かけてみることにしました。

茶器を知ろう!

茶葉と茶器を知り尽くした人が入れる中国茶はやっぱりおいしい。

茶葉と茶器を知り尽くした人が入れる中国茶はやっぱりおいしい。

<極めるほどに奥深い世界>
中国茶は、一般的に茶葉によって異なる茶器を使います。日本茶のように、緑茶もほうじ茶も急須と湯飲みでOKというわけにはいかないよう。有名な紫砂(磁器の一種)の急須は、同じ種類のお茶を入れ続けることで、急須自体がその茶葉の味に馴染み、育っていくと言われています。工芸品としても珍重される茶器は、もてなす側のセンスを問われるものでもあるそう。雰囲気と味を極めた茶館や茶葉店のお茶は、自宅で入れたものよりおいしく感じるのはあたりまえかも?
<入れ方もいろいろ>
現在上海で普及している中国茶道は、台湾から伝わったものです。この茶道(工夫茶)を極めるとなると、揃えなければならない道具もどっさり必要。資格試験なんかもあって、最近では日本人でこの資格を取得してお店を開いている方もいるようです。一方、上海で昔から飲まれている龍井茶などは、空き瓶に茶葉を入れてお湯を注ぐだけでOK。急須も、湯飲みさえも必要ないんです。何をどこでどんなふうに飲みたいかで、揃える道具も変わってきます。
お茶屋さんで試飲のハシゴをしてみましょう。入れ方も使う道具も個々に違うんです。 お茶屋さんで試飲のハシゴをしてみましょう。入れ方も使う道具も個々に違うんです。

お茶屋さんで試飲のハシゴをしてみましょう。入れ方も使う道具も個々に違うんです。

<茶器を選ぶコツ>
お茶屋さんで試飲をすると、そのお茶を入れるときに使う道具や入れ方も見ることができます。お茶屋さんの店員さんは例外なく親切な人ばかりなので(なぜでしょうか)、入れ方を教えてくれることも。しっかり覚えたら、茶器専門店に行ってみましょう。専門的なことは専門書におまかせして、ナビではお土産にしたい人気茶葉に必要な、基本道具だけに絞ってご紹介していきたいと思います。
昔ながらのお茶屋さんにはお客さんをもてなすブースが必ずあります。ここでの試飲はすべて無料。 昔ながらのお茶屋さんにはお客さんをもてなすブースが必ずあります。ここでの試飲はすべて無料。 昔ながらのお茶屋さんにはお客さんをもてなすブースが必ずあります。ここでの試飲はすべて無料。

昔ながらのお茶屋さんにはお客さんをもてなすブースが必ずあります。ここでの試飲はすべて無料。

烏龍茶・プーアール茶の茶器

凍頂烏龍茶、高山烏龍茶、鉄観音などに使われる茶器です。プーアール茶もこの道具でOK。色の濃いお茶(黒茶)はこの道具を使うということですね。最低限揃えたいものはこの4つです。
値段はピンキリ。用途、予算を考えて購入を。

値段はピンキリ。用途、予算を考えて購入を。

茶壷(急須)
できれば選びたいのは紫砂のもの。手のひらにおさまるくらいの小さめのものの方が使い勝手がいいようです。紫砂急須とは、上海の南に位置する街・宜興の名産品。その地で採れる特別な土を使って焼き上げたもので、有名な職人が作ったものや骨董価値のあるものは芸術品並みのお値段です。本格的なものは200元前後から。手頃なものは20元ほどで売られているので、雰囲気だけ楽しみたいという方は「安さ、シンプルなデザイン、自分の手の大きさに合うもの」を考慮して選んで下さい。
シンプルで機能的なものを選びましょう。

シンプルで機能的なものを選びましょう。

直接飲むだけでなく、こんなふうに持って急須として使うこともできます。

直接飲むだけでなく、こんなふうに持って急須として使うこともできます。

蓋碗(ふた付きの湯飲み)
茶葉の種類を問わず、いろいろ使えるとても便利な茶器です。湯飲みのなかに直接茶葉とお湯を入れ、ふたを少しずらして茶葉を除けながら飲むというもの。また、この湯飲みを急須として使う方法もあるんですよ。ふたをずらし、湯飲み本体とふたを片手で固定して持って各自の湯飲みに注ぎ分けるというもの。テクニックは必要ですが、これができたらかなりスマートな中国茶通かも。烏龍茶をこれで入れる場合は、ふたにもっともよい香りが付きます。飲む前にふたを取って、ふたの香りを楽しんでみてください。
茶海
日本茶は急須から湯飲みにそのまま注ぎますが、中国茶は急須から一度この茶海に注ぎます。急須のなかのお茶をここにすべて注ぎ切ってから、茶海のなかのお茶を各自の湯飲みに注ぐんです。こうすることでお茶の濃さが均一になるのだそう。このひと手間が味を決めるのかもしれません。蓋碗を急須として使う場合も同じように使います。
材質や形もさまざま。左は青磁、右は耐熱ガラス製。 材質や形もさまざま。左は青磁、右は耐熱ガラス製。

材質や形もさまざま。左は青磁、右は耐熱ガラス製。

対杯(湯飲み)
烏龍茶は、その濃厚な香りを楽しむお茶です。まずは写真左側の細長い湯飲み(聞香杯)にお茶を注ぎ、右の低い方のお茶碗(茶杯)にそのお茶を入れ替えます。そして、空になった細長い方の湯飲みでお茶の香りを楽しんでから、低い方のお茶碗に入っているお茶を飲みます。蓋碗で入れる場合は、香りを楽しむ道具はふたになるので聞香杯を使いません。蓋碗でのお茶の入れ方が普及している上海では、茶杯だけで飲むのが一般的です。
一般的な茶杯。自宅で飲むだけなら聞香杯は不要かも。

一般的な茶杯。自宅で飲むだけなら聞香杯は不要かも。

蓋碗と茶海、茶杯のセット。いちばんシンプルな茶道具セットです。

蓋碗と茶海、茶杯のセット。いちばんシンプルな茶道具セットです。

茶杯はバラ売りだととても安いので、お土産として気軽に購入できます。

茶杯はバラ売りだととても安いので、お土産として気軽に購入できます。

ガラスの茶杯はプーアール茶にオススメ。紹興酒のような、ワインのような色も楽しめます。

ガラスの茶杯はプーアール茶にオススメ。紹興酒のような、ワインのような色も楽しめます。

もっと極めたい方や、予算、荷物に余裕のある方はこちらも揃えてみましょう。
茶挟と茶杓。湯飲みをこれに挟んで洗ったり、熱くて持てないときに使う竹製ピンセットと、急須から茶殻を出したり、茶葉を急須に入れたりする道具のセットです。 茶挟と茶杓。湯飲みをこれに挟んで洗ったり、熱くて持てないときに使う竹製ピンセットと、急須から茶殻を出したり、茶葉を急須に入れたりする道具のセットです。

茶挟と茶杓。湯飲みをこれに挟んで洗ったり、熱くて持てないときに使う竹製ピンセットと、急須から茶殻を出したり、茶葉を急須に入れたりする道具のセットです。

茶こし。茶海にお茶を注ぐときに使います。ひょうたん製、竹製、ステンレス製、陶器製など、さまざまなものが売られています。これがあればよりきれいなお茶を入れることができますよ。 茶こし。茶海にお茶を注ぐときに使います。ひょうたん製、竹製、ステンレス製、陶器製など、さまざまなものが売られています。これがあればよりきれいなお茶を入れることができますよ。

茶こし。茶海にお茶を注ぐときに使います。ひょうたん製、竹製、ステンレス製、陶器製など、さまざまなものが売られています。これがあればよりきれいなお茶を入れることができますよ。

茶盤。すのこ状のお盆です。ふたをした急須の上からお湯を注ぐ中国茶道。これがあればお湯がこぼれても平気です。ただし、使いこなすには中国茶道をマスターする必要があるかも。 茶盤。すのこ状のお盆です。ふたをした急須の上からお湯を注ぐ中国茶道。これがあればお湯がこぼれても平気です。ただし、使いこなすには中国茶道をマスターする必要があるかも。

茶盤。すのこ状のお盆です。ふたをした急須の上からお湯を注ぐ中国茶道。これがあればお湯がこぼれても平気です。ただし、使いこなすには中国茶道をマスターする必要があるかも。

龍井茶・花茶の茶器

冒頭で「ガラス瓶だけでOK」と紹介した龍井茶。比較的簡単に入れられる緑茶と花茶ですが、お客さんに出すときはそうはいきませんよね。きれいな緑色を楽しみたい緑茶系茶葉や、お湯の中で花が咲く工芸茶(花茶)、人気の菊花茶、中国を代表する紅茶・祁門紅茶(キーマン紅茶)、クコの実や氷砂糖を加えた八宝茶などを入れるのに適しているのは、耐熱ガラス製の茶器です。
耐熱ガラスの茶器
日本で売られている耐熱ガラスのコップやポットでも充分応用は可能ですが、上海ではこれらが安く手に入るのが魅力。ガラスポットは、茶葉市場に行けばなんと20元から手に入ります。箱でしっかり梱包してくれるので、持って帰るのも安心♪
花茶にオススメの優雅なガラス製ティーセット。

花茶にオススメの優雅なガラス製ティーセット。

ガラスポットは市場ではとにかく安い! 一つ20元前後から。

ガラスポットは市場ではとにかく安い! 一つ20元前後から。

たて長ポットは、茶葉を沈ませて飲む龍井茶にもオススメ。

たて長ポットは、茶葉を沈ませて飲む龍井茶にもオススメ。

工芸茶を入れて飲みたい耐熱グラス。

工芸茶を入れて飲みたい耐熱グラス。

茶器を買おう!

目移りしてしまうほどたくさんの茶器が売られているのはやっぱり茶葉市場。そのほか、こだわりデザインの茶器を扱っているナビオススメのショップはこちらです。
天山茶城

茶葉市場は郊外にあるケースが多いのですが、市内から比較的近くて品揃えも雰囲気もナビイチオシなのがこちらの茶葉市場。中国茶マニア、陶磁器マニアなら、一日中ここで過ごしたいと思ってしまうこと請け合い♪
上海大寧国際茶城

雑技会場「上海馬戯場」に近いお茶市場。ここには、ナビでも何回かご紹介している人気茶葉店「御茶荘」が入っています。ご主人は日本語がペラペラなので、使い方、選び方に迷ったときなどは相談に行ってみてはいかがでしょう。市場内のオススメ茶器店なども紹介してくれるはず。
上海九星茶葉市場

地下鉄9号線「星中路」駅エリアと、やや市街地からは離れた位置にあるものの根強い人気がある茶葉市場。観光地化しているほかの茶葉市場よりも安いため、茶館やレストランなどがまとめ買いにくる場所でもあるよう。業務用にたくさん茶器がほしいという方にオススメです。
上海景徳鎮芸術瓷器有限公司

中国の焼き物といえば景徳鎮。せっかく買うならこだわりの器がいいという方はこちらへ。きらびやかな花鳥画の描かれた蓋碗のお茶碗がオススメです。日本茶にも合いそうな磁器の急須や湯飲みも見つかりますよ。
紫壷軒

宜興産の紫砂茶壺専門店。紫砂の土の採取量には限りがあるといい、良い職人も減っていることから年々値段が上がっているよう。気合いを入れて選びましょう。自分の手のひらのサイズのもの、重すぎないもの、そして、ふたと本体を軽く打ち合わせたときに、澄んだいい音がするものを選んで。
陶瓷故事

茶器もオーダーメイドができるって知ってました? こちらのお店は、青磁器で有名な浙江省の龍泉の窯元と契約を結んでいるため、好みの茶器を注文に応じて作ってくれるんです。上品な青磁の湯飲みは贈り物にもぴったり。興味のある方はぜひのぞいてみて下さい。
各店の位置はこちら。

いかがでしたか? ご紹介したお店の方々いわく、「茶器はたとえ高価な骨董品でも使わなくてはダメ。たとえば、同じ骨董茶器でもよく使ってある方が高価なんですよ」とのこと。買ったら飾っておくのではなく、どんどん使いましょう。茶葉編、茶器編とご紹介してきたナビ。機会があれば、次は中国茶道の基本や入れ方をご紹介したいと思います。
以上、上海ナビがお伝えしました。

他のエリアの「お茶、コーヒー事情」もご紹介

関連タグ:中国茶茶器

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-08-11

ページTOPへ▲

関連記事

中国茶★特集、その1(茶葉編)

中国茶★特集、その1(茶葉編)

知れば知るほどもっと飲みたくなる!美味しいだけじゃなくカラダに良い効果も併せ持つ魅惑の中国茶ワールドへようこそ!

その他の記事を見る