上海といえば上海雑技! 歴史、会場、見どころなど、雑技を楽しむための豆知識をご紹介。
こんにちは、上海ナビです。
上海ならではのエンターテインメントといえば真っ先に思いつくのが「雑技」と呼ばれる中国風サーカス。動物などを使った欧米のサーカスに比べ、雑技は人間の能力を再確認できる超人的な技が見どころです。最近は、マルチメディアを駆使した華やかなステージや、日本でも人気の「シルク・ドゥ・ソレイユ」とのコラボレーションも話題。今回は、伝統を守りながら進化を続ける上海雑技の魅力や見どころを徹底解剖してみたいと思います。
雑技とは?
歴史をモチーフにしたステージも。
<歴史>中国では、約2000年前から雑技の文化があったといわれています。古くは敦煌の壁画にも雑技を披露している絵が残っているのだそう。時代や地域によっても大きく異なる雑技ですが、現在の上海雑技が完成されたのは1950年ごろ。周恩来が中心となって国が上海、北京、天津、武漢にそれぞれ雑技団を置き、その後は外交にも役立てられていきました。
雑技団ごとにテーマや衣装、見せ方も異なります。
<雑技団>現在上海にはいくつかの雑技団があります。もっとも有名なのは「上海雑技団」ですが、実力的に上なのは「上海雲日之木雑技芸術団(雲峰雑技団)」といわれています。大所帯の「上海雑技団」の団員は200人ほどで、そのうち120人が舞台に出ているそう。最近は著名な舞台監督や衣装デザイナー、作曲家などを雇ったり、コラボレーションする雑技団も出てきて話題になっています。
お茶碗を使った車技。
<上海雑技の特徴>マルチメディアを駆使したり、国外のディレクターを入れたりする雑技団が増えてはいるものの、基礎訓練、「静」「穏」「巧妙」「正確」などの基本理念は伝統のまま。また、帽子、茶碗、カサ、ラケット、茶器、お皿など、日常生活で使う物を小道具にするのも特徴です。これは、雑技と日常生活の密接なつながりを表現しているんだとか。
お客さんは全体的に欧米人観光客が多め。
<会場>テントや大衆的な劇場で開催される一般的なサーカスや演芸ショーに対し、上海雑技はほとんどが立派な専用ホールで上演されます。もっとも有名な会場は、ポートマン会場こと「上海商城劇院」。ほかに「上海馬戯城」「上海馬蘭花劇場」などがあります。同じ雑技でもそれぞれコンセプトや演目が異なるので、ぜひ見比べてみて下さい。
チケットは直接会場でも購入できますが、より良い席を確保するなら予約するのが確実です。
雑技の見どころ
鑑賞する前に、基本的な技を抑えておきましょう。見せ方の基本としては、最初はウォーミングアップ(既にここで「スゴい!」と思ってしまうのですが)、その後徐々に難易度が増していきます。命綱をつけない技もあるので常にハラハラドキドキ・・・。でも、コンセプトや演出が異なっても、ベースとなっているのは中国の伝統的な雑技なんですよ。
※雑技団によって公演内容が異なります。下記で紹介したすべての技をやるわけではありませんので、ご注意ください。
抖轎子オープニングに多い演目です。つないだ手で女性団員をボールのように投げ上げてキャッチする技で、その高さや回転にもびっくり。つながれた手を使ったトランポリンといった感じです。
轉盤・球技ボールやラケット、お皿、輪っかなどを使ったジャグリング。考えられない量のボールを2本の手だけで操る人もいます。ジャグラーは司会を兼ねていることも。
小跳板簡単にいえばシーソー。片方に屈強な体格の男性が、もう一方に小柄な団員が乗り、重いの方の体重によって小柄な団員が飛び上がります。肩車をしたまま飛び上がったり、飛び上がった人が3段肩車のいちばん上に着地したりする大技も。
台圏三段に重なった輪っかをくぐり抜けるアクロバット。バック転をして後ろ足からくぐり抜けて着地したりと、オリンピックの体操競技以上の技が炸裂します。
紬吊
天井から下がる2本のリボンに体を巻き付ける中国風空中ブランコ。男女ペアで演じる場合と、女性一人の場合があります。どちらも命綱なしで、しかも結びつけられているわけでもないのでドキドキ。わざとスルッとステージの床すれすれまで落下することもあります。会場によっては、客席の真上で演技する場合も。
頂碗頭の上に大きな陶器の壷を乗せる芸。落としたら大ケガでは済まない重さの壷を頭上に投げ上げたり、頭の上でバランスを取ったりします。地味だけれど熟練の技が必要な伝統芸。
転碟お馴染み皿回し。日本の演芸レベルとは格の違う量と技で魅せてくれます。一人10個のお皿をまわしながら軽々と人の肩に乗るなど、究極のバランス芸には思わずため息。
蹬技仰向けに寝た人が足の上で机や椅子、人などを自在にまわす芸。足を使って人を投げ上げてキャッチする、足の上に二人を乗せてポーズをとるなどの変形型も。
車技一輪車や自転車を使う芸の総称。一台の自転車に何人も乗ってポーズを決めたり、一輪車でジャグリングをしたりとさまざまな種類があります。車芸担当の団員は若い女性が多いよう。
柔術
いわゆる「軟体芸」。体をそって足首と耳をくっつけたり、180度以上開脚したり、水の入ったグラスを口にくわえたり足に乗せながら体勢を変えたりします。柔らかさとバランス感覚が必要な芸。
単手頂片手でポールの上に逆立ちし、もう片方の手と両足を使って美しいポーズを決める芸。細身の女性団員が演じることが多いのですが、ものすごい筋力が必要な芸でもあります。
爬竿男性団員が竹ざおやポールに登ってポーズを決めたり、ステージの床すれすれの距離まで落下したりする芸。10人ほどで演じる場合もあります。
飛車
金網製の球体の中をバイクが走り回る芸。せまい球体の中を多いときは7台ものバイクが走り回ります。緊張感あふれる迫力のステージは必見。フィナーレによく使われる演目です。
前の方に座ると、ステージに上がれることもあるんですよ。
ほかにもお客さんを巻き込んでのナイフを使ったジャグリング、中国ゴマを使った芸、5〜6人が別の位置から一斉に投げたアルミの灰皿を一人で瞬時にキャッチする芸など、さまざまな演目があります。会場や雑技団によっても技の名前が違ったり、得意とする演目が変わったりするので、ぜひ見比べてみて下さい。
いかがでしたか? 実は最初は雑技にはまったく興味のなかったナビ。でも、何回か公演を見ているうちにいつのまにか雑技フリークになっていました。雑技ショーの多くは、幕が閉じてからお客さんが席を立つのではなく、お客さんが立って会場から出て行くまで幕は閉めずにカーテンコールを続けるんです。そんなちょっとしたサービスにも感動することうけあい。皆さんも、本場で雑技の魅力に触れてみて下さい。
以上、上海ナビがお伝えしました。
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記事登録日:2017-10-26