陸路でスピーディーに中国国内をまわろう! 上海発の「高鉄」乗り方指南。
こんにちは、上海ナビです。
『上海ナビ』を閲覧している方には、上海を拠点に中国各地への旅行を計画中の方も多いと思います。その足として便利なのはやっぱり高速鉄道(高鉄/ガオティエ)。蘇州、杭州などの近場観光都市はもちろん、北京、西安、香港なんかにも高速鉄道で行けてしまうんですよ。というわけで今回は、「中国自体初めて」という方でも挑戦できる高速鉄道の乗り方を大解剖。よりビギナー向けにわかりやすく解説いたします♪
※この記事では、2019年現在上海から乗車できる高速鉄道(列車番号にGが付く列車)をご紹介します。鈍行列車、寝台車については触れません(今後それらの記事も作成したいと思います)。
高速鉄道(高鉄)基礎知識
まずは知っておきたい基礎知識から。開発の背景や技術、車種などについてはほかでも解説されているので、ここでは実際の旅行に役立つ情報に絞ってまとめてみました。
※以下、すべて2019年現在の情報です。
車種もいろいろ。現地で観察してみて
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時速は? 路線数は? 「G」って何?最高時速は350km。路線数は約20で、現在も新路線がどんどん建設されています。路線名は「京沪」「沪杭」のような感じ。「京」は北京のこと、「沪」は上海、「杭」は杭州ですね。繋いでいる都市名の1文字ずつを取った名前になっています(日本の埼京線、京成線などと同じ名付け方式)。よく聞かれる「G」とは、高速鉄道の「高(Gao)」の頭文字。各列車には飛行機のフライトナンバーのような番号があり、その番号の頭文字にアルファベットがついています。Gの付く列車番号は高速鉄道ということです。ほかに動車組の「D」、特別快速の「T」などがあります。
こんなふうに連結
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運賃は? 本数は? 日本と違うところは?距離にもよりますが、近場の蘇州、杭州(乗車時間30分〜1時間前後)は30〜70元。日本の新幹線に比べてかなり安いです! 本数は、蘇州、杭州行きであれば7〜10分に1本という頻度で出ているので便利。日本との違いは、自由席がないこと(全席指定)、車掌などの乗務員がほぼ全員女性なこと、乗る路線によって駅の改札が異なること(空港の要領です)、特急券と乗車券にわかれていないこと(切符は一枚のみ)、など。日本の新幹線よりも乗り方はシンプルです。
市街地にこんな切符売り場が点在しています
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超初心者向けの切符入手法「アプリやスマホ決済は無理」「当日券の売り切れが不安」「駅の切符売り場の行列に並びたくない」という方は多いはず。そんな旅行者の皆さんにお勧めなのは、上海市街地に点在している専用窓口「火車票代售点」での切符購入です。並ぶ必要なし、現金OKなので旅行者向き。切符は翌日の列車から2ヶ月後まで購入できます(往復はもちろん、北京—天津など上海経由ではない切符も買えます)。購入時には、現金と乗車する全員分のパスポートを用意しましょう。
※「火車票代售点」での購入には、切符代のほかに別途手数料の5元が加算されます。クレジットカードは使えないことがあります。
窓口では、乗りたい列車のメモを見せればOK(目的地、乗りたい日時、枚数)。乗車日が祝祭日だったとき、長距離の路線や始発ではない駅から乗り換える必要がある場合などは売り切れていることもあるので、第三希望くらいまで考えておきましょう。
※2020年以降、紙のチケットがほぼ廃止されています。窓口、アプリなどで切符を購入後(パスポート番号などの登録が必要)、パスポートを見せて入場するシステムです。駅の入り口、改札など、外国人はスタッフがいるゲートを進んでください(自動改札は中国人の身分証のみ対応のため)。(2020年8月追記)
<旅行者にお勧めの火車票代售点>
○「オークラ・ガーデンホテル」裏手「錦江旅行社」内(長楽路191号)
○「上海賓館」北側の烏魯木斉路店(烏魯木斉北路501号)
○衡山路と東平路交差点「青旅」内(東平路12号)
※営業時間は9〜17時(目安)。祝日など営業していないことがあります。
「上海に着いてから買うのでは不安」「火車票代售点が見つからなかったら? 閉まってたら?」という方は、『上海ナビ』でご予約を♪
駅の「人工售票」の様子
駅で直接当日の切符を買う場合は、「人工售票(係員のいる窓口)」と書いてある窓口を探します(自動券売機では中国人の身分証しか識別できないため)。「退票(キャンセル、払い戻し)」専用の窓口、「改簽(乗る列車の時間や目的地の変更)」専用の窓口もあります。ナビがよく使うのは「改簽」。早めに用事が終わってしまって、購入済みの復路の切符の発車時刻よりも早く帰りたい時などに使えます。
高速鉄道に乗るなら「上海虹橋駅」へ
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上海駅? 上海虹橋駅?2019年現在、一部を除いてほとんどの高速鉄道は「上海虹橋駅」から発車します。「上海駅」ではないことが多いので注意が必要。「高速鉄道に乗るなら上海虹橋駅」と覚えておきましょう。また、高速鉄道に乗るなら、上海虹橋駅まで一本で行ける地下鉄2号線、10号線沿線のホテルを選ぶのもコツです(静安寺エリア、中山公園エリアなど)。
実際に乗ってみました
それでは実際に乗ってみましょう。今回ナビは、「上海虹橋駅」から「杭州東駅」まで乗ってみました。初心者でもカンタンです。ただし高速鉄道が発着する駅はどこもものすごく広いので、改札を探す時間などを考慮し、遅くとも発車時刻の30分前には到着しているようにしましょう。
駅構内入り口の様子
①
駅構内に入る中国の各鉄道の駅では荷物検査を実施しています。列に並び、パスポートを提示し、手荷物を検査機に通せばOK。
中国の高速鉄道の駅の一般的な改札フロアの様子。ここから自分の乗る列車番号の改札を探します
②
改札を探す乗る列車によって改札が変わります(空港の搭乗口の要領です)。改札番号は切符の右上「検票」と書いてあるところに印字されています。下の写真の切符の場合は「6B」の改札へ。矢印の上に印字されている列車番号(この切符では「G7335」)もチェックを。改札にこの番号が表示されているかを確認します。
右上の番号と矢印の上の番号を見ます
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頭上の電光掲示板にその番号が掲示された改札へ
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③改札を入る
電光掲示板の自分の乗る列車のところが「正在検票」に変わったら、列に並んで改札に切符を通して入場します。
※2020年以降、紙の切符が発行されない場合があります。その場合、外国人は自動改札横のスタッフがいるゲートへパスポートを持って進んでください(2020年8月追記)。
自分の目的地が終点とは限らないので、地名ではなく列車番号を見て判断を
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切符を改札に通して入場します
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ホームに降ります
④
乗車するホームに降り、切符に印字された番号の号車を探して乗車。自分の席番号を探します。
以上、簡単ですよね。
<車内情報>
一般的な二等席の車両です
車内はこんな感じ。トイレや洗面所も付いています。車内アナウンスは中国語と英語です。
ここから運行情報を入手可能。スマホ決済を使えるようにすればお買い物もできます
「目的地の駅の到着時刻を知りたい」「飲み物(軽食)を買いたい」というときは、自分の席の肘掛に貼られたQRコードをスキャン。乗っている列車の詳しい情報のほか、ここからメニューを選んで決済し、席まで飲み物や食事を運んでもらうこともできます。このシステムがあるため、車内販売などはありません。
到着駅の様子も予習を。旅行者の利用率が高い近場の高速鉄道発着駅をまとめてみました。
上海から高速鉄道で行けるお勧め都市
一週間くらい遠出しちゃう?
近場旅行を体験したら遠出に挑戦! 時速350kmでも8〜9時間かかる都市も多く(鈍行の時代に比べたらかなりスピーディーですが)、中国の広さを実感できると思います。LCCで安く速く行ける都市へ、あえて鉄道で行くというのも旅らしくていいですよね。
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北京上海虹橋駅→北京南駅
所要時間:約5時間 運賃:553元〜
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西安上海虹橋駅→西安北駅
所要時間:約7時間 運賃:669元〜
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香港上海虹橋駅→香港西九龍駅
所要時間:約8時間 運賃:1008元〜
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重慶上海虹橋駅→重慶北駅
所要時間:約12時間 運賃:585元〜
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武漢上海虹橋駅→武漢駅
所要時間:約5時間 運賃:336元〜
そのほか、昆明、鄭州、成都、長沙、天津、青島、廈門、瀋陽などへも一本で行けます。路線、時刻、切符の値段など、公式サイト「高鉄網」で検索してみてください。
高鉄網 http://www.gaotie.cn
いかがでしたか? ちょっと遠出してみたくなったのではないでしょうか。ナビの経験上、海外で自分で切符を買って地方都市に行った経験は、有名観光地に行った思い出よりも鮮明に残っている気がします。ぜひ皆さんも、上海を拠点に広い中国大陸の旅を楽しんでみてください。
以上、上海ナビがお伝えしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2019-09-19