PM2.5、新型インフルエンザ、デモは大丈夫? 渡航の前に一読を。
こんにちは、上海ナビです。
皆さんは、海外旅行に行く前に外務省の海外安全ホームページや、その都市の領事館のサイトはチェックしているでしょうか。実はこれ、ガイドブックを眺めたり、ホテルの予約をすることと同じように大事なことだとナビは思っています。特に上海は日本のニュースが大々的に報じるような問題が起こりがちな街。でも、冷静に行動すれば充分楽しい旅ができる街でもあるんです。ということで、ナビが在住者目線でさまざまな状況下での上海での過ごし方を調べてきました!
まずはこの二つのサイトで最新情報をチェックして下さい。今の上海の状況、頭に入りましたか?
それでは、よくある問題のケースごとに現地の状況と対策をご紹介していきましょう。
対策1:大気汚染
2013年3月、飛行機の窓からナビが撮影した上海の上空。もやがかかっています
2013年2月ごろから日本でもよく耳にするようになった「PM2.5」という言葉。花粉や黄砂の被害とともに、日本では連日注意喚起をするニュースが流れました。「PM2.5」って何なのか、どういった影響があるのかなど、領事館が開催した説明会の資料に詳しく書かれています。まずは一読を。
「上海市空気質量実時発布系統」のキャラクター、空気宝宝
<主な対策>○
専門サイトをチェックするその日の空気の善し悪しは、その日に確認するしかありません。ナビは時間帯ごとのPM2.5濃度がわかる二つのサイトを日々チェックしています。一つはアメリカ領事館が発表しているサイト「U.S. Consulate Shanghai Air Quality Monitor」。もう一つは上海市が発表している「上海市空気質量実時発布系統」です。目安ではありますが、数値が80以下であれば街歩きには支障がない範囲。午前と午後でも数値は変わるので、気になる方はこまめにチェックを。
「U.S. Consulate Shanghai Air Quality Monitor」
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「上海市空気質量実時発布系統」
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現地の人はあんまりマスクをしていません
○
マスクをする完璧を求めるなら「N95」規格のマスクを。PM2.5を95%以上カットできるそうです。一般的なマスクでは効果がないという人もいますが、しないよりはした方がよいのではないでしょうか。でも、実際に上海の街を歩くとマスクをしている人は少数派。特に「N95」のような大掛かりなマスクをしていると、「何ごと?」というふうに街行く人にじろじろ見られてしまうかも。
この状況を現地で見てしまうと、「マスクしてるのってもしかして日本人だけ?」「気にしすぎな人みたいで恥ずかしい」などと思うようになって、結局マスクを使わずに帰国する人が多いみたいです。よく日本人を案内するという現地のガイドさんも「皆さん、最初だけマスクをしてますよね」とのこと。マスクをするのかしないのか、状況に流されずに自分で判断して下さいね。
○タバコを吸わない
タバコを吸うと、周囲のPM2.5の濃度が急激に高くなるそうです。これは日本も中国も関係ないことですよね。タバコの煙がいかに有毒かということが、中国の大気汚染問題で改めてわかった気がします。
対策2:新型インフルエンザ/鳥インフルエンザ
海外ニュースや安全情報のサイトを日ごろチェックしていると、新型インフルエンザの情報も入ってきます。WHOでは「フェーズ」という言葉で新型インフルの状態を6段階に分けて発表しています。何がどこでどういう状況で流行っているのか、渡航前に調べてみましょう。
鳥インフルエンザは、2013年4月初旬に上海でも死者が出るというニュースが流れました。数年に一度のペースで話題になる鳥インフルエンザ。領事館発表のデータを詳しく見ると、感染者は毎回養鶏関連や市場の販売員や調理師など、生きた鶏に関わる人が多いようです。ヒトからヒトへの感染例がまだないため、生きた鶏に近づかないということが最大の対策ですね。
2013年4月現在の市場の様子。生きたニワトリ売場は閉鎖されていました
<主な対策>○
ローカルな食材市場に行かない市内でも生きたまま売られていることがあるニワトリ、ハト、アヒル(2015年3月現在)。特に衛生局などの監視があまり届いていない郊外や地方都市の市場や、ニワトリを放し飼いにしている農村などに注意を。感染者も郊外や農村地域で出ることが多いようです。
○うがい、手洗い、マスクをする
ホテルに戻ったらうがいと手洗いを。こだわる方は、いつものうがい薬や薬用ハンドソープを持参しましょう。人ごみでは念のためマスクを。また、十分な栄養、睡眠、休養を取るなど、普通の風邪予防と同じ対策が重要になってきます。普段から不規則な生活を送っていて風邪を引きやすい方は、流行時の渡航は避けた方がよいでしょう。
○必要な情報をまとめておこう
ヒトからヒトへの感染があるのか、どのエリアで感染者が出ているのかすぐにチェックできるよう、スマホやタブレットで情報収集できるような環境を。また、インフルエンザとは関係のない発熱、咳などがあった場合も、特別な検査を求められるかもしれません。日本人医師のいる病院を調べておけばピンチのときに相談できますよね。高額な治療費が免除される海外旅行保険に入っておくことも忘れずに。
<主な日本人向けクリニック>インフルエンザ以外でも旅先で体調を崩すことがあるかもしれません。滞在先の最寄り病院も探しておきましょう。日本人医師常駐の病院、日本語の医療通訳がいる主な病院をリストアップしてみました(これ以外にもたくさんあるので検索してみて)。診療時間などは各ウェブサイトをチェックしてください。利用する場合は海外旅行保険の証書を忘れずに持参すること。一部、病院までのタクシー代が保証される病院もあるのでレシートも取っておきましょう。
○上海森茂診療所(浦東・陸家嘴エリア)
上海市陸家嘴環路1000号恒生銀行3階 021-6841-0385
○上海グリーンクリニック(虹橋開発区エリア)
上海市仙霞路88号太陽広場東塔1階 021-6208-2255
○東和クリニック(古北/浦東・科技館エリア)
古北院:上海市栄華東道88号3階 021-5204-6123
○博愛病院国際医療センター(淮海中路・衡山路エリア)
上海市淮海中路1590号 021-6431-5107
○上海市静安区中心医院(静安寺エリア)
上海市西康路259号第2ビル10階 021-3222-0949 ※24時間対応
※新型インフルエンザの疑いがあった場合は、日本人向けの病院ではなく指定病院で診察を受けることになります。以下のページを参照してください。
対策3:デモ・集会
【反日デモ編】数年ごとに大規模な反日デモの様子が日本のニュースで流れますよね。あの映像だけ見ていると、「日本人だとバレたらどうなることか」と怯えてしまうのも無理はないかも。でも、2005年、2012年と、比較的大きく報道されたデモ発生時に現地にいたナビ。実際は、普通に上海人の同僚や友達と仕事や食事をし、日本人同士日本語でおしゃべりしながら街を歩けていました。
何かの本で、日本人を粘土に、中国人を砂に例えた話に「なるほど」と思ったことがあります。中国人はさらさらでまとまりがなく、みんなのことより自分が大事。全員が同じ考えで進むことがあまりない気がします。反日デモについても、ナビ周辺では「私とは関係ないし」と思っている人がほとんどでした。ところで、皆さんはこういった他国に向けた抗議デモに参加したことがありますか? 中国人も、全員が参加しているわけではないんです。日本が大好きな中国人もたくさんいるということを知っておきましょう。
2012年9月のデモ発生時には、日本領事館のサイトで場所、時間などが告知されました
<主な対策>○
デモや集会に近づかない反日デモなどがある場合は、必ず数日前に日本領事館のサイトでルートや場所の予告があります(この辺からしてパフォーマンス的なものだということがわかりますが)。発表された場所には興味本位で近づかないこと。日本領事館周辺、日本領事官邸周辺は、豫園や外灘などの観光地からは離れていますし、実際には旅行者が気づかないうちに収束することがほとんどです。
○挑発に乗らない
いろいろな考えの人がいるように、日本が嫌いな上海人がいることは事実です。ナビも店員さんや電車で隣り合わせた人などに、気に障ることを言われることがごくたまにあります。でも、言われたひと言くらいで絶対感情的にならないこと。日本のイメージ悪化に追い打ちをかけるだけです。ちょっとこらえて、広い心で、笑顔で。これだけで、彼らの日本に対する見方が変わるかもしれません。
【反政府運動編】ナビ的には、反日デモより危険なのはこっちかも、と思っています。ご存知のように、中国には今の政府に不信感を持っている人がたくさんいます。政府側は、そういった人の行動や言論がメディアやネット上で広まってしまうことを警戒しています。反日デモのように、決まった場所や時間帯で政府の把握している範囲内で行われる活動ではないため、旅行者が知らずに出くわしてしまう場面も少なくありません。
<主な対策>
○見ない、立ち止まらない
よくあるのは住民の強制立ち退き令に対する抗議。白地に黒文字で書かれた垂れ幕、黒ペンキでスローガンが書かれたプラカードなどを持った人や、それらを掲げた建物を見たら、興味本位で近づいたりしないようにしましょう。古い住宅が残っている豫園エリアや新天地周辺での目撃例があります。
ナビの知人(日本人)で、座り込みをしているお年寄りがいたため「何してるんだろう?」と思って見ていたら、警察に連行されそうになったという人がいます。原因は、首からカメラを提げていたため。潜入していた記者だと思われたそうです。もしそこでカメラを構えていたらもっと大変なことになっていたかもしれません。パッと見、何をしているのかわからない人、人だかりや警察が介入しているような揉めごとなどに遭遇したら絶対に近づかないこと。カメラや携帯電話はすぐしまいましょう。
○国際ニュースをチェックしよう
2011年にチュニジアで起こったジャスミン革命は、当時中国にも影響を与えました。2011年2月には、上海の人民広場エリアで拘束者が出ています。ノーベル平和賞を受賞した劉暁波、社会派現代アーティストの艾未未など、国際的なニュースにたびたび出てくる中国人のことも知っておきましょう。今の中国が見てくるはずです。
対策4:基本情報をもう一度チェック
そのほか、旅行中遭遇しそうなトラブルについて、以下の記事でおさらいしておきましょう。中国茶詐欺の予防法は必読です。パスポートをなくしたとき、深刻なトラブルに遭遇したときのために覚えておきたいのは日本領事館の場所。また、上海にあるのは日本大使館ではなく日本領事館だということも意外と知らない方が多いようです(日本大使館の所在地は北京市です)。
いかがでしたか? これらの話題はテレビや新聞が報じなくなると沈静化したものだと日本人は思ってしまいがち。常にそこにある問題だと思って行動してくださいね。でも、いちばん忘れてはいけないのは、環境を良くしようと頑張っている人、病気に立ち向かっている現地のお医者さん、日本が大好きな人、困ったときに助けてくれる人が上海にはたくさんいるのだということかもしれません。
以上、上海ナビがお伝えしました。
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2013-04-19