蘇州へ行くならこの4ヵ所はハズせない! 時代ごとに異なる古典園林めぐりを楽しもう。
こんにちは、上海ナビです。
日本と中国の観光地の最大の共通点といえば、「◯大××」のような場所がたくさんあること。日本では、三大祭り、三大夜景などが有名ですよね。中国にもそんなくくりの観光地が無数にあります。違いといえば、日本に「三大」が多いのに対し、中国は「四大」が多いこと。特に四大美女、四大名著などが有名ですが、上海に近い蘇州には四大名園というものがあります。では早速、行く前に予習しちゃいましょう。
※2019年より、主要庭園の入場が事前予約制になっています。お出かけの際はご注意ください(2019年5月追記)。
四大名園を予習する前に
日本庭園との違いを鑑賞しよう。
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日本の三大名園は?中国人のガイドさんと蘇州へ行くと、「蘇州には四大名園があります。日本にも三大名園がありますよね」と紹介してくれるハズです。うんうん、とうなづくナビたちにガイドさんが、「では、日本の三大名園はどこですか?」と切り返してきたことがありました。もちろんナビは答えられず……。蘇州の四大名園を知るなら、まずは日本の三大名園を知っておきましょう。兼六園、後楽園、偕楽園でしたよね。造園様式、年代まで予習しておけばより深く中国文化との違いを感じることができます。
◯ほかの四大くくりは?
中国を旅するなら知っておきたい有名な四大くくり。よく言われるのはこちらです。
四大発明:紙、羅針盤、火薬、活字
四大美女:楊貴妃、西施、貂蝉、王昭君
四大名箸:西遊記、水滸伝、紅楼夢、三国志演義
四大料理:四川料理、江蘇料理、広東料理、山東料理
蘇州の拙政園は中国四大名園の一つ。
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中国四大名園とは?今回ご紹介するのは蘇州四大名園ですが、中国四大名園というものも蘇州とは別に決められています。これに数えられているのは、頤和園(北京)、避暑山荘(河北省承徳)、留園(蘇州)、拙政園(蘇州)。中国全土を対象にした四大くくりでも、蘇州の庭園が二つも入っています。蘇州がいかに造園文化の発達した街かということがわかりますよね。
蘇州四大名園をまわってみよう!
蘇州四大名園は、滄浪亭、獅子林、拙政園、留園です。紹介される順番はいつもこの並び。まわるときも、できればこの順番でまわりましょう。というのも、古い順だからなのです。滄浪亭は宋代(948〜1264年)、獅子林は元代(1271〜1368年)、拙政園は明代(1369〜1644年)、留園は清代(1644〜1911年)と、それぞれの時代を代表する庭園なのだそう。まわるだけで中国の造園史を知ることができます。
滄浪亭(宋代)
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獅子林(元代)
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拙政園(明代)
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留園(清代)
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自力でまわるなら、こんなコースはいかがでしょう。まずは蘇州駅からタクシーで滄浪亭へ。ここからまたタクシー移動で話題のストリート・平江路付近へ。運河沿いの道を獅子林までぶらぶら歩いてみましょう。そのすぐ北側に拙政園もあります。最後にタクシーで留園へ。時間と体力が余っていたら、怡園、双塔、北寺塔などにも立ち寄ってみてください。
こんなゴツゴツの築山を登る庭園も。
蘇州の古典庭園は、石橋、築山、飛び石で渡る池などがあるため、必ず穿き慣れたスニーカーで出かけましょう。ヒールなどは敷石の間に挟まってとれなくなることも。また、庭園ですから冬は寒さ、夏は暑さ対策が必要です。庭園内の家屋もエアコンは付いていません。快適に観光するなら春か秋に、土日祝日を避けて日程をたてて。
蘇州の名園を周れるツアーもあります。
一、滄浪亭
基本データ:創建は北宋時代、面積1.08ヘクタール、世界文化遺産水と緑が織りなす風景がもっとも美しいとされる蘇州最古の庭園です。宋代の詩人・蘇舜欽の元私邸としても知られていて、彼の記した「滄浪亭記」も有名。当時から植えられていたという竹林、こぢんまりとした築山、池に沿って続く白壁の回廊など、ほかの庭園よりも素朴で清らかな風景を楽しむことができます。もともとの面積は今の6倍だったという説も。回廊に施された飾り窓(漏窓)にも、古典園林の美意識を感じることができます。
庭園の周りには堀のような運河が。
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透かし窓(漏窓)の多い回廊が特徴。
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二、獅子林
基本データ:創建は元代(1342年ごろ)、面積1.1ヘクタールぼこぼこと穴のあいた白い奇石・太湖石で造られた築山や洞窟が特徴的な元代の庭園です。使われている石のなかに獅子に似た形のものがあったため、この名前が付いたそう。古くから多くの文人墨客が訪れた庭としても有名です。明代の書画家・倪瓉が描いた「獅子林図」は、この庭園が知られるきっかけになった作品だとか。禅寺として使用されていた歴史もあるそうで、昔から「寺廟園林」として親しまれてきたようです。
岩山に登ったり洞窟探検が楽しめます。
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池と太湖石のコントラストもきれい。
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三、拙政園
基本データ:創建は明代(1509年ごろ)、面積5ヘクタール、世界文化遺産蘇州最大のもっとも有名な庭園。明代の高官・王献臣が造った庭園で、広大な池と3つのエリアから成る風景が特徴です。どこから眺めても絵になる構図が楽しめるので、庭園鑑賞初心者でも古典園林の美意識を感じることができるはず。名前の由来には、官僚を辞した王献臣が「愚かな者が政治を司る」という意味を込めて付けたという説があるそうです。庭園というくくりをハズしても、蘇州ではいちばん有名な観光地。4ヵ所まわるのは無理という方はここだけでもOKです。
池が広がる広大な庭園です。
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西洋建築の影響が見られる楼閣も。
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四、留園
基本データ:創建は清代(1794年ごろ)、面積2ヘクタール、世界文化遺産もともと明代に造られた「東園」という庭園を、清代に劉恕が改築。庭園の名前は、劉と同じ発音の「留園」としたそう。園内は東西南北の4エリアに分かれていて、それぞれが異なる表情を見せてくれます。見どころは細長い太湖石「冠雲峰」、盆栽園、岩でできた築山などで、主な見どころが「留園18景」と呼ばれているそう。訪れたならぜひ18ヵ所を見つけてみて下さい。真夏はハスの花、秋は木々の紅葉も楽しめますよ。
橋や回廊が池に沿って続いています。
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すっきり現代的な家具が置かれた楼閣。
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いかがでしたか? 四大観光地が市内一ヵ所にぎゅっと集まっているのは何だかおトク感がありますよね。皇帝や武将ではなく、高官を辞めた人や文人など民間人が造り上げた芸術であることも蘇州園林の魅力の一つ。皆さんも庭園の住人目線で、ゆったりと風景を眺めてみて下さい。
以上、上海ナビがお伝えしました。
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記事登録日:2012-07-24