庶民派スープ、薬膳スープでぽかぽかに。上海で味わえる定番スープをご紹介♪
こんにちは、上海ナビです。
中華料理に欠かせないものといえば「湯」、そう、スープです。日本人的に中華スープというと、フカヒレスープや卵スープなどを思い浮かべるかもですが、本場はもっともっと種類豊富で奥が深いんですよ。というわけで今回は、知っておけば一目置かれる中国のスープ知識と、上海旅行で味わっておきたいスープの数々を大特集! スープがおいしい店は間違いなく料理もおいしいので、レストラン選びにもぜひ役立ててください。
本場の中華スープ基礎知識
中国では昔から「四菜一湯(4つの料理と1つのスープ)」がもてなしの食卓で出される正式な料理数と決まっていたそう。日常では「二菜一湯」が基本とされ、デリバリーアプリなどで職場に頼むお弁当にもスープが付くのが一般的。おかずとして飲むだけでなく、薬膳効果を期待して健康のためにスープを飲むのも中国ならではで、レストラン、料理のジャンルによってもさまざまなスープがあります。まずは知っておきたいスープ知識から。
<知っておきたいスープ用語>
メニュー表には確かにスープの写真はあるけれど、よくわからない漢字表記が付いていると頼むのも不安ですよね。「一人旅なのに巨大な器のスープが運ばれてきた!」などの旅行者あるあるを回避するために、単位や種類を予習しておきましょう。
一般的な上海料理店のスープメニュー
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種類湯…一般的なスープ(具重視)のこと。
羹…とろみのあるスープ。
炖湯…一般的な煮込みスープ(だし重視)のこと。煨湯と呼ぶことも。
老火靚湯…広東式スープ。調味料を加えずに具材を長時間煮込んだもの。薬膳効果がある。老火湯と呼ぶことも。
瓦罐湯…江西省で発展した、甕で煮込む具沢山スープ。薬膳効果を重視したものが多い。
例湯…本日のスープ(日替わり、週替わりで用意されているスープ)。
甕みたいな形の器で煮込んだ「瓦罐湯」
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ランチセットなどにつく日替わりの「例湯」
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☆単位(値段の前に書かれています)
例/份…約3〜5人前のこと。おたまで取り分けて食べる大きな器で出てくるスープ。
煲…約3〜5人前の大きさの土鍋に入った、丸鶏や魚を煮込んだスープ。取り分けて食べます。
罐…約3〜5人前の甕(壺)に入った具沢山スープ。これも取り分け用です。
位…1人前のスープ。
盅…蓋付の小さなカップに入った1人前のスープ。高級店に多いスタイル。
レストランスープを極める!
それではまずはレストランのスープ事情から。同じ中華でも料理のジャンルによってさまざまなスープメニューがあります。今回は、代表的な地方料理店3種類のスープをピックアップ!
上海料理編
地元上海のスープの特徴は、あっさり塩味の具重視スープ。コトコト煮込むのではなく、中華鍋でさっと仕上げるスープが主流です。
細切りのザーサイ入り溶き卵スープ「榨菜肉絲湯」
代表格はこの3つ。「榨菜肉絲湯(ザーサイと細切り肉のスープ)」「薺菜豆腐羹(ナズナと豆腐のとろみスープ)」「酸辣湯(サンラースープ/酸っぱ辛いとろみスープ)」。庶民的な上海料理店に必ずあるメニューです。
あっさり味のとろみスープ「薺菜豆腐羹」
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酸っぱ辛い「酸辣湯」
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上海農村部の定番土鍋スープ
上海郊外や農村エリア、農家菜(田舎料理)を提供するお店では、旧正月によく食べられている土鍋スープ煮込み「腌篤鮮(塩漬け豚、タケノコなどを煮込んだ具沢山スープ)」も定番。郊外の古鎮に出かけたらお店の人に聞いてみてください。ただし大容量なので、大人数でオーダーを。
コクがあってまろやか
広東料理編スープといえば、ナビとしては広東式の老火靚湯(炖湯/老火湯)がいちばんのお気に入り。ほとんどのお店が調味料は塩さえ不使用で、素材のだしの味だけで勝負しています。
だしとなる具材は日替わりなのが一般的。よく使われているのは豚足、豚の肺、大豆、とうもろこし、松茸、シーココナッツ、ハト、ユリ根など。白濁するまで煮込まれたスープはコクがあってほのかに甘みがあります。どのお店のスープが好みか、飲み比べてみるのもお勧め。
豚スペアリブのスープ
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キノコ系は澄んでいます。こんな風に、土瓶蒸しみたいに提供するお店も
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フカヒレスープは上海蟹の味噌を加えるのが上海流
広東料理といえばフカヒレスープですが、上海では上海蟹の味噌を入れた「蟹粉魚翅湯」がポピュラー。上海蟹専門店や高級広東料理店で味わえます。
甕で煮込んだスープ
江西料理編料理のジャンルとしてはかなりマイナーなのですが、スープ界では広東料理に負けない存在。上海市内にも江西省南昌が本場と言われる「瓦罐湯(甕で煮込んだスープ)」のお店がたくさんあります。
専門店「湯司令」のメニュー。下に効能が書かれています
よく使われる具は、烏骨鶏、豚足、レンコン、丸鶏、カモ、クコ、ナツメなど。肉類は骨から身がほろっと取れるまで煮込まれています。8〜10時間煮込むのが一般的で、炭火を使った本格派のお店も。また、それぞれのスープの効能が書かれていることがあるので、チェックしながらオーダーしてみてください。在住者のナビは、風邪気味のとき、体調が悪いときにデリバリーでよく頼んでます。
番外編
1日前予約のお店もあります
究極のスープ・佛跳牆中国の高級スープといえばこれ。アワビ、貝柱、フカヒレ、ナマコなど数10種類の乾物をじっくり煮込んだ福建省の名物スープで、「あまりにおいしそうな香りなので修行僧も壁を飛び越えてくる」という意味の名前がついています。漫画『美味しんぼ』で知ったという人も多いのでは? でも、「超高級」「幻のスープ」などと紹介されることが多いのですが、上海では200元前後で味わうことができます。調理時間の関係で、事前予約が必要なお店もあるのでお問い合わせを。
北京ダックの締めスープ
正式な北京ダックのお店は、1テーブルで一羽を頼むのが一般的。身を食べ終わったら、その一羽分のアヒルガラ(骨)をスープにしてもらうのが通(無料サービス。家庭でスープにしたい人は持ち帰ることも可能)。あっさり白濁スープが食事の締めにぴったりです。
トマト風味の懐かしい味
上海式ボルシチ・羅宋湯戦前の日本でオムライス、ハヤシライスなどの洋食が発展したのと同じように、上海にも上海発のレトロな洋食が存在します。その代表格が「羅宋湯」。上海式のボルシチ(野菜の煮込みスープ)です。老舗洋食店はもちろん、レトロを売りにした上海料理店にも必ずあるのでぜひお試しを。
軽食スープの世界
一人でも気軽に
街角の食堂にも、日本では見かけないスープがたくさん見つかる上海。街歩き中、ちょこっと腰掛けて小腹を満たせるスープを探してみました。どれも10元前後で楽しめます。
食感とあっさりスープにハマります
鶏鴨血湯ローカルな小吃店になくてはならない存在。鶏や鴨の血豆腐のスープです。ナビは初めての中国旅行でこれにハマったので、ビギナー向けのローカルメニューの代表格だと思います。
湯葉の肉巻きはボリュームあり
双档湯上海の伝統的な庶民派スープといえばこれ。湯葉の肉巻きと、肉入り中国麩(麺筋)が入ったあっさり塩味スープです。排骨年糕(揚げた豚と餅を甘辛だれで和えた伝統的な軽食)に付けるのが一般的。
南京の名物です
老鴨粉絲湯アヒルだしのスープにアヒルホルモンと春雨を入れたスープ。何気に、ナビがいちばん好きな上海の街角メニューです。軽めの食事ならこれ一杯で完結するボリューム感も魅力。
ほんのりカレー風味
咖喱牛肉湯上海を代表する小吃・生煎(焼き小籠包)の付け合わせメニューとして大定番。薄味カレースープに春雨、薄切りの牛肉、香菜(パクチー)が入ったもの。
いかがでしたか? ほかにも上海では、「番茄蛋湯(トマトと溶き卵のスープ)」「老母鶏湯(丸鶏の煮込みスープ)」なども定番。雲南料理の「汽鍋鶏(鶏の煮込みスープ)」や新疆料理の「牛肉湯(牛肉スープ)」も絶品です(=紹介しきれない!)。スープは食卓の脇役ではあるのですが、「夏に冬瓜スープを飲むと風邪を引かない」「産後の栄養はフナのスープで」など、体に気をつけている上海人からは常にスープの話題が出てくるんですよ。ぜひ皆さんも、旅行期間中に自分好みのスープを見つけてみてください。
以上、上海ナビがお伝えしました。
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2019-02-21