期間は2012年10月~2013年3月末まで! 上海最大のアートの祭典に行ってみよう!
こんにちは、上海ナビです。
町おこし的なアートイベントが日本でも話題になっていますが、ここ上海でも1996年から続く大型アートイベントがあります。2年に一度、偶数年に開催されている「上海ビエンナーレ(上海双年展)」がそれ。第9回目となる今回は規模も内容も数倍グレードアップし、街歩きや各国の人たちとの交流も楽しめるイベントとなっています。アート鑑賞だけじゃない楽しみも詰まった今回のビエンナーレ、早速ナビも隅々まで見てきましたよ!
上海ビエンナーレ基礎知識
☆そもそもビエンナーレって?
国際的にはベネチア、ベルリン、サンパウロなどが有名でしょうか。簡単にいえば現代アートの万博かも。上海ビエンナーレにも毎年日本を始め各国の有名アーティストが参加しています。過去5回ほど(足掛け10年?)見学に行っているナビですが、印象に残っているのは奈良美智やジュリアン・オピー、安藤忠雄などの作品。第7回の様子、過去のテーマについてはこの記事をご覧下さい。↓
メイン会場は元発電所!
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今回の見どころ今年のテーマは「重新発電」。会場となる「上海当代芸術博物館」が発電所をリノベートした場所だということで、「リサイクル」と「発電」という対極の言葉をかけた興味深いものです。「再生」なんて、今までのビエンナーレでは出てこなかったテーマかも。このテーマをもとに、各国のアーティストが作品を出します。今年は都市ごとのブースもあるのだそう。何だかほんとに万博みたいでしょ?
☆展示館はどこ?
前回までは「上海美術館」がメイン会場でしたが、今年は上海万博跡地にオープンした「上海当代芸術博物館」が会場となります。ほかに、裏外灘の歴史建築群や公園にも展示館が飛び火。街歩きしながらアート鑑賞が楽しめるんです。全部まわるには2日は必要かも……。それでは早速、メイン会場からご紹介していきましょう。
メイン会場(主展場)「上海当代芸術博物館」
こちらが今回のメイン会場となる2012年10月オープンの美術館「上海当代芸術博物館」です。中国最大の現代アート美術館で、上海万博期間中は「城市未来館」というパビリオンで親しまれた建物。その前は、南市発電工場という古い発電所でした。開館時間は10:00-17:00(月曜休館)で入場料は無料です。
会場にはチケット売り場がありません。ふらっと行っても入れないので要注意!
<入場法をチェック!>「上海当代芸術博物館」に入場するには、公式チケット予約サイトで事前に予約番号を受け取らなければなりません(当日券の販売はなし)。予約できるのは見学日の二日前のみ。たとえば、日曜日に見に行こうと思ったら、金曜日にサイトを開いて予約する必要があります(木曜日より前に日曜日の予約はできません)。しかもサイトは中国語のみ。中国人や中国語ができる日本人の知り合いがいるという方は、頼んで予約してもらうのが確実です。
問い合わせ 021-3110-8550(中国語)
まず、見学日の入場予定時間をクリック、名前、携帯番号(中国で使えるもの)、性別、パスポート番号を入力すると、携帯番号にショートメールで予約番号が送られてきます(日時によっては売り切れの場合もあります)。これを指定した日時に窓口に持って行けば入場できるという仕組み。一つの予約番号で3人まで入場できます。また、月曜日は休館のため、土曜日は予約受付がストップします。
前回までの行列がうそみたい! 広々快適な館内で静かに鑑賞できます
「予約法がわからない外国人の方は中国人に手伝ってもらって下さい」と主催者。英語の予約サイトも今回は用意していないのだそう。交流してほしいという意図なのかな、と前向きにとらえたナビ。『上海ナビ』でツアーの予約をした方は、空いた時間にガイドさんに頼むのも手です。スマホがあれば3分くらいで予約できますよ。また、この予約によって一日の入場者数を4000人前後に抑えているそう。大行列で館内ぎゅうぎゅう状態だった過去のビエンナーレからすれば、このほうがアートファンにはうれしいのです。
日本でも何かと話題を振りまいているChim↑Pomの作品『レッドカード』
<メイン会場の注目作品>それでは早速館内を見ていきましょう。作品については、ここでは一部をご紹介するだけにします。ぜひぜひ実際に見に行ってみて下さい。ナビ的にいちばん衝撃だったのは、日本の若手アーティスト集団・CHIM↑POMの作品『レッドカード』。福島原発の作業員として、原発内部で仕事をしたときの様子が説明されています。日本のアーティストたちの作品は、現地のアートファンにもかなり注目されているよう。
康本雅子の『茶番ですよ』。見たこともないダンス映像に上海のアートファンも釘付け!
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西野康造『空の記憶』。ずっと見ていたくなる軽やかな曲線が印象的でした
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ほかにも、こんな作品が展示されていました。テーマの通り、電気やリサイクルを題材にしたユニークな作品がいっぱい。中国人的には、懐かしいものを素材にした作品が多かったようです。ナビの印象に残った作品を少しだけご紹介しますね。
ポストカード、ノート、マグカップなど、レトロなデザインのグッズが売られていました
ミュージアムショップには、今回のビエンナーレグッズも販売されています。
アートなレストランです
とにかく見応えたっぷりの展示内容なので、じっくり見ているとお腹が空きます(笑)。ナビは館内の創作中華料理店「YUN’S」でランチを食べました。「高級そうかも」と思いましたが、なんとドリンク付きのランチセットは38元から。お手頃で味も本格派でした♪
元「中国館」です
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同時オープンの「中華芸術宮」にも行ってみました!こちらは「上海ビエンナーレ」とは関係がないのですが、同時期に同じ万博会場跡地にオープンした美術館です。一日アート鑑賞に充てたいという方は足を伸ばしてみて下さい。中国の近代から現代の油絵、中国画、彫刻、商業デザイン、中国アニメまで、中国アートがすべて分かる展示内容です。各国の美術館コーナーにはジョージア・オキーフ、バスキアなどの作品も。万博時に展示されていたマルチメディア版「清明上河図」も展示されていますよ。
近代から現代の中国絵画が大量に展示されています
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レトロかわいい中国産アニメのセル画も!
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海外コーナーにはアメリカの現代アートもありました
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万博開催時に話題になった「清明上河図」も
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都市館(城市館展場)
街の中のこんな立て看板が会場の目印
こちらの特徴は、街のなかの各歴史的建造物が世界の各都市の展示ブースになっていること。事前予約は不要。しかもどこも無料で入れるので、外灘や南京東路散策をしながらアート鑑賞、歴史散策、国際交流ができちゃうんです。メイン会場のネット予約がめんどうという方は、この部分だけ見に行くのでもいいかも。歩きながらさらっと見流すなら1時間、じっくり鑑賞するなら半日のコースです。早速北側から見に行ってみましょう。
※都合により不定期で休館する展示館もあります。こちらの展示期間は2012年12月31日までになります。
まずは外灘エリアを代表するホテルの一つ「ザ・ペニンシュラ上海」の裏手へ。蘇州河沿いに散策すれば、ゴシック建築の小さな教会「聯合教会(新天安堂)」が。ここはオークランドの展示館になっています。教会のなかで鑑賞する幻想的な映像作品、ぜひ。
裏外灘の歩行街です
「聯合教会(新天安堂)」から南へ続く石畳の歩行街が「圓明園路」。ここには、リール、ロサンゼルスなどの展示館が点在。
北京東路を右折し、虎丘路を右折すると「上海外灘美術館」があります。ついでにこちらもぜひ鑑賞を。その斜め向かいにある「RAM工作室」は浙江省店口の展示館になっています。
「上海外灘美術館」
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斜め向かいに見落としそうな展示会場が
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南京東路と四川中路の交差点にある、この建物が「中央商場」
北京東路まで戻り、右に進んで四川中路を左折すると南京東路の交差点に出ます。ここを左折すれば「フェアモント・ピース・ホテル(和平飯店)」がありますよね。テレビ塔「東方明珠」もすぐ近くに見えます。この交差点の右向かいにある廃墟のようなビルが都市館のメイン会場「中央商場」(南京東路119号)。南京東路を渡った右手に入り口があります。
この廃ビルのなかには、ウランバートル、テヘラン、ピッツバーグ、ベルリン、アントワープ、デトロイト、リマ、メキシコシティ、テジョン、バンクーバー、デュッセルドルフ、ダカール、サンパウロ、ボゴタの展示館が入っています。テヘランやダカールの現代アートなんて見たことあります? 地名を見るだけでナビはワクワク!
レトロな展示スペース
この「中央商場」は建物自体も必見。創業100年近い小売店の店舗が閉店したまま、くずれかけむき出しのままの3階建ての建物がそのままアート空間になっているんです。こんな観光エリアのど真ん中にこんな廃墟があったなんて! そして、こんな建物を各国のアーティストや観光客に見てもらおうというセンスに脱帽。なんだか、上海の魅力を凝縮したような空間でした。デベロッパーに問い合わせたところ、2012年12月末で展示が終わったあとは改装してしまうとのこと。今だけの空間なんです。
すぐ隣りの、こちらも古いビルです
「中央商場」のすぐ西隣がもう一つの会場「美倫大楼」。こちらには、ブルックリン、シドニー、サンフランシスコの展示館が入っています。都市ごとに入り口が異なるので、裏や表など建物全体をぐるっとまわってみてくださいね。
依東美術館(中山公園)
公園を散策しながら美術館探しをしてみて
最後にご紹介する会場は中山公園。3号門の近くにある「依東美術館」では、地元アーティスト・爾冬強のビエンナーレ作品が展示されていました。史実を語り継ぐという興味深いテーマ。こじんまりとした展示会場でしたが、映像などは見応え充分でした。公園散策も楽しめますよ。入場も無料です。
※こちらの展示期間は12月26日までとなります。
語り継ぐ歴史をテーマにした展示
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展示室の前はバラ園になっています
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いかがでしたか? ビエンナーレ開催中は、実はビエンナーレとは関係のない美術館やギャラリーも行きどき。どこも負けじと選りすぐりの展覧会を開催するからです。そして、アート作品や、それに関わる人たちの仕事、想いを知ると上海の印象ががらっと変わるはず。皆さんも期間中に上海へ足を運んでみませんか?
以上、上海ナビがお伝えしました。
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2012-10-23